ねが)” の例文
むすめが、毎日まいにち学校がっこうで、きつね、きつねといわれますそうで、学校がっこうへゆくのをいやがってこまりますが、どうかおぼっちゃんにおねがいして
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのわり一つおねがいがあります。どうぞくすのきでふねをこしらえて、みずをいっぱいれて、その中にささのかべてください。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
女の子は戸のうしろに立って、そっときいていましたが、このねがいごとを耳にしますと、すぐにカラスたちのまえにでてきました。
井戸いどのことは、もうおねがいしません。またどこか、ほかの場所ばしょをさがすとします。ですから、あなたはどうぞ、なないでください。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それでも神様かみさまうあってもわたくしねがいをおききれになってくださらないので、そのときわたくし力落ちからおとしとったらなかったものです。
「この外人はまことに恐れ入ったしだいであるといい、かく脱帽しておわびを申し上げています、何分にもいのちだけはおゆるしをねがいたい」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おちつけずや母樣はゝさまにはねがはんとてはなたまはず夫樣おくさままたくれ/″\のおほせにそのまゝの御奉公ごほうこう都會みやこなれぬとてなにごとも不束ふつゝかなるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ねがはれ何卒なにとぞわたく御役御免下ごめんくださるべしといはれしかば何故退役たいやくねがはるゝやと申さるゝに大岡殿此度このたび煙草屋たばこや喜八裁許さいきよちがとがなき者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「しごくなおはからい……いまの身になんのかってな我意がいを申しましょうぞ。よろずとも、よろしきようにおねがいするばかりじゃ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
士卒しそついまかず、百せいしんぜず。ひとにしてけんかろし。ねがはくはきみ寵臣ちようしんくにたつとところもつぐんかんせしめば、すなはならん
そのうち霜島正一郎しもじましよういちろう先生せんせいになつたものもありますが、便宜上べんぎじようわたしいたまづ素人畫しろうとがもたくさんあるのは、おゆるしをねがふほかはありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あきらめのつくやうに、あきらめさしてくださいツて、おねがまをした、あの、お返事へんじを、ないでツてますと、前刻さつきくだすつたのが、あれ……ね。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ほんとにあたし眞劍しんけんつてるのよ。おねがひですから、子供こどもにだけは、子供こどもにだけはみじめなおもひをさせないやうにね」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
また地面ぢめん? 何時迄いつまでもあのことばかりかんがへてらつしやるのね。だつて、貴方あなた萬事ばんじよろしくねがひますと、叔父をぢさんにおつしやつたんでせう」とふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ただただ九〇ふるあたをわすれ給うて、浄土じやうどにかへらせ給はんこそ、ねがはまほしき叡慮みこころなれと、はばかることなくまをしける。
なん御用ごようぞんじませんが、一こくはやくお師匠ししょうさんにおにかかって、おねがいしたいことがあると、それはそれは、いそいでおりますんで。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
其上そのうへものになりさうだツたら何卒どうか怠惰屋なまけや弟子でしといふことにねがひたいものです。さうなるとわたしはうでも出來できるだけのおれいは致します積りで……
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ちっぽけな生き物が、かわいそうにドウランの中にかくれていて、自分の話が早く終わるようにとねがっていようなどとは、ゆめにも知らないのです。
ここではあらゆるのぞみがみんなきよめられている。ねがいの数はみなしずめられている。重力じゅうりょくたがいされつめたいまるめろのにおいが浮動ふどうするばかりだ。
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ただ一ごん申しますることは、どうぞよくよくお目止められ、お耳止められ、お手拍子てびょうしごかっさいのご用意をねがっておくことだけでございます。はじまり
殿とのさまにねがひまする、是非ぜひともお成敗せいばいくださりませい。ロミオはチッバルトをころしたからは、いかしてはおかれませぬ。
けれども、今から想像そうぞうされるまご光栄こうえいに一しょに加わりたいというそのねがいは、ごくつつましいあわれなものだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
『お師匠ししやうさま、孫子まごこつたはることでございますから、どうかまあ私共わたしどもにもささうな苗字めうじを一つおねがまをします。』
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「お父樣とうさま、しばらくおいとまいただききたうございます」とおそるおそるちゝまへにでて、おねがひしました。そしてこゝろうちでは、どうか聽容きゝいれてくれるといいが。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「あつちとおなじでいゝのよ。おねがひするわ。宿賃やどちんだけ余計よけいになるけど。」とひながら、道子みちこ一歩一歩ひとあしひとあしをとこ橋向はしむかうくらはうへとつてかうとする。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「はゝあ。寒山かんざんてをられますか。それはねがつてもことです。どうぞ御苦勞ごくらうついでくりや御案内ごあんないねがひませう。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
気楽きらくなるものは文学者ぶんがくしやなり、うらやましきもの文学者ぶんがくしやなり、接待せつたいさけまぬ者も文学者ぶんがくしやたらん事をほつし、ちたるをひろはぬ者も文学者ぶんがくしやたるをねがふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
しゅねがわくはおんてんよりたまえ、なんじ右手めてもてたまえるこの葡萄園ぶどうぞの見守みまもらせたまえ、おとなたまえ。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さあ、ぐつすりるとしよう。耶蘇イエススよ。十字架クルスふあのしろ幼児をさなごたちをも、夜々よるよるむらしたまへ。われまことにかくねがたてまつる。あゝむくなつた。われまことにかくねがたてまつる。
『あの説明せつめい出來できるものか』とあはたゞしくつてグリフォンは、『それよりもつぎせつねがひませう』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
『で、きみ今夜こんや御出帆ごしゆつぱんならば、ふねなかでも、日本につぽんかへつてのちも、何呉なにく御面倒ごめんどうねがひますよ。』
『これは先日せんじつ此附近このふきん散歩さんぽしてひろつたのです。如何どう大學だいがくへおおさめをねがひます』とふ。
そして僧正そうじょうさまにおねがいいたしました。僧正そうじょうさまはすぐに承知しょうちしてくださいました。わたくしどもの宿やどまできてくださいまして、人形のためにおいのりをしてくださいました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「MMさんに仮声こわいろねがはうぢやないか。」たれかゞ劇界げきかい長老てうろうたるMMざしてうながした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
山田やまだます/\親密しんみつになるにけて、遠方ゑんぱうから通ふのは不都合ふつがふであるから、ぼくうち寄宿きしゆくしては奈何どうです、と山田やまだつてくれるから、ねがうても無きさいわひと、すぐきふをつて、郷関きやうくわんを出た
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
どうかこのうばが一しやうのおねがひでございますから、たとひ草木くさきけましても、むすめ行方ゆくへをおたづくださいまし。なんいたにくいのは、その多襄丸たじやうまるとかなんとかまをす、盜人ぬすびとのやつでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いひへてると自分じぶんこゝろがわかつていたゞくように、説明せつめいをし、おねがひをし、おびをするもので、根本こんぽん精神せいしんにおいては、このとほり、わたしどもは服從ふくじゆうまをしてをります、といふちかひの意味いみになります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
この命題めいだいもとに見るにまかせ聞くにまかせ、かつは思ふにまかせて過現来くわげんらいを問はず、われぞかずかくの歌のごと其時々そのとき/″\筆次第ふでしだい郵便いうびんはがきをもつ申上候間まうしあげさふらふあひだねがはくは其儘そのまゝ紙面しめんの一ぐう御列おんならおき被下度候くだされたくさふらふ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
此の老爺じいさんに免じて何うか御勘弁をねがえます
ねがへど、ひめことなしび、素知そしらぬけはひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
くださるようにおねがいしてください。
「お内儀かみさん親不孝おやふかうだなんちな、おや警察けいさつへでもねがつてなけりや巡査じゆんさばかしぢやどうすることも出來できねえもんでござんせうかね」勘次かんじ先刻さつきからのはなしうちにもなんだかうしろからものおそはれるやうな容子ようすまなかつたがつひういつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と、く/\おねがひしました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
わたしは、ぼっちゃんに、わたしっているようなと、わたしむね宿やどっているようなたましいけてあげますように、かみさまにおねがいしましょう。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで夫婦ふうふ朝夕あさゆう長谷はせ観音かんのんさまにおいのりをして、どうぞ一人ひとり子供こどもをおさずけくださいましといって、それはねっしんにおねがもうしました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
はやだねとおきやうさとせば、そんならおめかけくをめにしなさるかとふりかへられて、れもねがふてところではいけれど
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すぐにおわかりになったものとえ『フムその懐剣かいけんならたしかに彼所かしこえている。よろしい神界しんかいのおゆるしをねがって、取寄とりよせてつかわす……。』
と、また或時あるときその女中ぢよちうが、おなじやうに、「れいしゆ。」とつた。またわからない。「おはやねがひます。」とまた女中ぢよちうつた。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかも、そいつがべたにぶったおれて、どうかよいお天気になりますようにっておねがいをしないうちは、けっしてやめやしないんですからね。
あっしンとこなんざ、若旦那わかだんなにおいでをねがうような、そんないた住居すまいじゃござんせん。火口箱ほくちばこみてえな、ちっぽけな棟割長屋むねわりながやなんで。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)