しゆ)” の例文
やゝひくく、やまこしながれめぐらして、萌黄もえぎまじりのしゆそでを、おもかげごと宿やどしたのは、つい、まのあたりちかみね向山むかひやまひとぶ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かけ乘物のりものの上下にはしゆ爪折傘つまをりがさ二本を指掛さしかけ簑箱みのばこ一ツ虎皮の鞍覆たる引馬一疋へうの皮の鞍覆たる馬一疋黒天鵞絨くろびろうどに白く葵の紋を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
蔀の隙間から、壁際までは二間半、槍の長さも二間半、——人間の身體はしゆを盛つた皮嚢かはぶくろのやうなもので、突けば間髮を
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
しゆの色の薔薇ばらの花、ひつじが、戀に惱んではたけてゐる姿、羊牧ひつじかひはゆきずりに匂を吸ふ、山羊やぎはおまへにさはつてゆく、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ヘヽーうでげせう、三しゆぐらゐにはまかりますまいか。坊「焼場やきば値切ねぎるものもないもんだ、きまつてるよ。金「ナニ本当ほんたうけないでもよろしいんで。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「四十六せんりんまうしゆるんだが、りや八りんとしてもらつてな」と商人あきんど財布さいふから自分じぶんぜにけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
慈悲と恩愛に燃ゆる怒のほのほに滿面しゆを濺げるが如く、張り裂く計りの胸の思ひに言葉さへ絶え/″\に
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
石器せつきつくかたなどはべつ進歩しんぽしてゐませんけれども、それにもあるように文字もじのようなものを、いししゆいたものがあるのはめづらしいとおもひます。(第二十二圖だいにじゆうにず左下ひだりした
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
宗助そうすけひざいてぎんいろくろげたあたりから、くずかぜうらかへしてゐるいろかわいたさまから、大福だいふくほどおほきなまるしゆ輪廓りんくわくなかに、抱一はういつ行書ぎやうしよいた落款らつくわんをつく/″\と
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しゆまじはればといふことはなのお師匠ししようくせにしてせどもほんにあれはうそならぬことむかしはのやうに口先くちさきかたならで、今日けふ何處开處どこそこ藝者げいしやをあげて、此樣このやう不思議ふしぎおどりたのと
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女王樣ぢよわうさま滿面まんめんしゆをそゝいだやうに眞赤まつかになつておいかりになりました、暫時しばしあひだ野獸やじうごとあいちやんを凝視みつめておでになりましたが、やがて、『あたまばすぞ!ね——』とさけばれました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
三十六ねんつて大成功だいせいかうをした。一ぐわつ十六にちには、土器どきしゆもつ緻密ちみつなる模樣もやうゑがいてあるのを、二箇ふたつまで掘出ほりだした。それから四十二ねん今日こんにちまでにくのごと珍品ちんぴんまたでずにる。
短日たんじつふる眼先まさきしゆびし童女像ありて暮れてゆきにけり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さくら咲く丘のあなたの空の果て朝やけ雲のしゆたたへたり
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
青き枝こがねのぬひをおける枝しゆを盛れる枝雨の流るる
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
寝所ふしどには括枕くくりまくらのかたはらにしゆ筥枕はこまくら置きつつあはれ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
明るいしゆに、紫に、えた黄金きんに。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
けんしゆわりもつて配つた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
まなこしゆそゝき、きん
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
日影のしゆまだら
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あをいでたかところしゆ欄干らんかんのついたまどがあつて、そこが母様おつかさんのうちだつたとく、あほいでたかところしゆ欄干らんかんのついたまどがあつてそこからかほ
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かくこまかいあきなひをして二しゆか三しゆ裏店うらだなすまつて、一生懸命しやうけんめいかせぎ、朝は暗いうちからあきなひにくれてからかへつてるやうにし、よる翌日あした買出かひだしに出る支度したくをし
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
席次せきじ不同ふどうおも々々/\めてはゐるが、高聲かうせいかたるもの、わらふものは一人ひとりもなかつた。そうみな紺麻こんあさ法衣ころもて、正面しやうめん曲彔きよくろく左右さいうれつつくつてむかあはせにならんだ。その曲彔きよくろくしゆつてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「お上の御用で、何時何處へ飛ぶかわからない身體だ、せめて二しゆなり一分なり、要心金は持つて居るものだよ、それが御用聞のたしなみだ——と言つても、俺も三百も持つてゐないことはあるがね」
陽炎の搖りあふる見ればしゆの桁や鐵橋はいまだ架け了へずけり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
玄翁げんおう望生ぼうせいとは、しゆ附着ふちやくせる貝殼かひがらしたのみ。
しゆみて骨々こち/″\しき猛獸の怒號、爭鬪にをのの
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
点、点、点、点、しゆまだら……
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
木彫きぼりのあの、和蘭陀靴オランダぐつは、スポンとうらせて引顛返ひつくりかへる。……あふりをくつて、論語ろんごは、ばら/\と暖爐だんろうつつて、くわつしゆそゝぎながら、ペエジひらく。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
陽炎の揺りあふる見ればしゆの桁や鉄橋はいまだ架け了へずけり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
紫摩金しまごんはえを盡して、あけしゆほこり飾るも
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
「へ、一しゆかい。本當にくれるか」
しゆに染まる今朝けさの富士を。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
しゆ木瓜ぼけはちら/\とをともし、つゝむだ石楠花しやくなげは、入日いりひあはいろめつゝ、しかまさなのである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
童女像しゆらひ今朝見れば手に持つ葡萄その房見えず
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
紫摩金しまごんはえを尽して、あけしゆほこり飾るも
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
……ぱつしゆそこみなぎると、ぎんおほふて、三きやくなゝつにわかれて、あをく、たちまち、薄紫うすむらさきに、あゐげてかるあふつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼岸ばな今はおどろと卷鬚まきひげしゆもしらけたり長雨ながめふりにし
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
詩人しじんこれでは、鍛冶屋かじや職人しよくにん宛如さながらだ。が、そにる、る、りつゝあるはなんであらう。没薬もつやくたんしゆかうぎよく砂金さきんるゐではない。蝦蟇がまあぶらでもない。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼岸ばな今はおどろと巻鬚まきひげしゆもしらけたり長雨ながめふりにし
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
胡粉ごふんわかれたみづかげは、しゆ藥研やげん水銀すゐぎんまろぶがごとく、ながれて、すら/\といとくのであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かうかうと鐵の鋲うつ子ら見ればしゆの鐵橋は雲に響けり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
横額よこがく二字にじ、たしか(勤儉きんけん)とかあつて(彦左衞門ひこざゑもん)として、まるなかに、しゆで(大久保おほくぼ)といんがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かうかうと鉄の鋲うつ子ら見ればしゆの鉄橋は雲に響けり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
じつは、ほのほいて、ほのほそむいて、たとひいへくとも、せめてすゞしきつきでよ、といのれるかひに、てん水晶宮すゐしやうぐうむねさくらなかあらはれて、しゆつたやうな二階にかい障子しやうじ
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
え崖の櫨子しどみの蕾しゆせて雨のつちしみみ附き見ゆ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
主人あるじますと、格子戸かうしどそとに、くろで、まんじをおいた薄暗うすぐら提灯ちやうちんひとつ……もつと一方いつぱうには、しゆなにかかいてあつたさうですけれど、それえずに、まんじて……黄色黒きいろぐろい、あだよごれた、だゞつぴろ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
行啓おなりのまへ消防隊のしゆすぢが並んで見てるたんばこの花
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
驚駭おどろきのあまり青年わかものは、ほとん無意識むいしきに、小脇こわきいだいた、一襲ひとかさねの色衣いろぎぬを、ふねむかつてさつげる、とみづへはちたが、其処そこにはとゞかず、しゆながしたやうにかげ宿やどうきくさたゞよふて、そであふ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
町祠まちほこら石の恵美須の鯛のしゆの早や褪せはてて夏西日なり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)