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黒木綿
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くろもめん
ふりがな文庫
“
黒木綿
(
くろもめん
)” の例文
高柳君は
床
(
とこ
)
のなかから
這
(
は
)
い出した。
瓦斯糸
(
ガスいと
)
の
蚊絣
(
かがすり
)
の綿入の上から
黒木綿
(
くろもめん
)
の羽織を着る。机に向う。やっぱり翻訳をする
了簡
(
りょうけん
)
である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、大井も
黒木綿
(
くろもめん
)
の紋附の肩越に、
顎
(
あご
)
でちょいと
会釈
(
えしゃく
)
をしたが、それなりまた向うを向いて、隣にいた制服の学生と、何か話をし始めたらしかった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何
(
なん
)
だらうと思つて
直
(
すぐ
)
に
飛出
(
とびだ
)
して
格子
(
かうし
)
を明けて見ますると、
両側
(
りやうがは
)
共
(
とも
)
に
黒木綿
(
くろもめん
)
の
金巾
(
かなきん
)
の
二巾位
(
ふたはゞぐらゐ
)
もありませうか
幕張
(
まくは
)
りがいたしてございまして、
真黒
(
まつくろ
)
で
丸
(
まる
)
で
芝居
(
しばゐ
)
の
怪談
(
くわいだん
)
のやうでございます。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白木綿
(
しろもめん
)
の
布子
(
ぬのこ
)
、
襟
(
えり
)
が
黄色
(
きいろ
)
にヤケたのに、
單衣
(
ひとへ
)
らしい、
同
(
おな
)
じ
白
(
しろ
)
の
襦袢
(
じゆばん
)
を
襲
(
かさ
)
ね、
石持
(
こくもち
)
で、やうかん
色
(
いろ
)
の
黒木綿
(
くろもめん
)
の
羽織
(
はおり
)
を
幅廣
(
はゞびろ
)
に、ぶわりと
被
(
はお
)
つて、
胸
(
むね
)
へ
頭陀袋
(
づだぶくろ
)
を
掛
(
か
)
けた、
鼻
(
はな
)
の
隆
(
たか
)
い、
赭
(
あか
)
ら
顏
(
がほ
)
で
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見ると、それは縫目もなければ袖もない、
並幅
(
なみはば
)
半反
(
はんだん
)
ほどなただの
黒木綿
(
くろもめん
)
。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
道也先生は、あやしげな、
銘仙
(
めいせん
)
の上を
蔽
(
おお
)
うに
黒木綿
(
くろもめん
)
の紋付をもってして、
嘉平次平
(
かへいじひら
)
の下へ両手を入れたまま
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
図書館の
扉口
(
とぐち
)
に近い、
目録
(
カタログ
)
の
函
(
はこ
)
の並んでいる所へ、
小倉
(
こくら
)
の袴に
黒木綿
(
くろもめん
)
の
紋附
(
もんつき
)
をひっかけた、背の低い角帽が一人、
無精
(
ぶしょう
)
らしく
懐手
(
ふところで
)
をしながら、ふらりと外からはいって来た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
次に眼を転じてまた徐ろにわが左の袖を見た。
黒木綿
(
くろもめん
)
の織目のなかに砂がいっぱいたまっている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平生
(
へいぜい
)
何心なく身に着けて外へ出る
黒木綿
(
くろもめん
)
の紋付さえ、無能力の証拠のように思われ出した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どっちの方角へ足が向くかね」と主人は真面目な顔をして、
黒木綿
(
くろもめん
)
の紋付羽織の
袖口
(
そでぐち
)
を引張る。この羽織は木綿でゆきが短かい、下からべんべら者が左右へ五分くらいずつはみ出している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
失敬な、——甘木さんへ行って聞いて見ろ——元来御前がこんな
皺苦茶
(
しわくちゃ
)
な
黒木綿
(
くろもめん
)
の羽織や、つぎだらけの着物を着せておくから、あんな女に馬鹿にされるんだ。あしたから迷亭の着ているような奴を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
綿
常用漢字
小5
部首:⽷
14画
“黒木綿”で始まる語句
黒木綿紋付