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麻裃
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あさがみしも
ふりがな文庫
“
麻裃
(
あさがみしも
)” の例文
媒人
(
なこうど
)
やら、叔父の小林鉄之丞やら、婚家の
定紋提灯
(
じょうもんちょうちん
)
をぶら下げて、
麻裃
(
あさがみしも
)
の影を、ゆらゆら、藪に描きながら、だらだら坂を降りて行った。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廻禮の
麻裃
(
あさがみしも
)
や、供の
萠黄
(
もえぎ
)
の風呂敷が、チラリホラリと通るだけ、兩側の店も全く締めて、松飾りだけが、青々と町の風情を添へて居ります。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
褒賞の式だから岡安は
麻裃
(
あさがみしも
)
に扇子を持っていたが、その扇子を半ば開き、ぴしりと閉め、栄二の言葉が聞えなかったような表情で、窓のほうへ眼をやった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
漆紋
(
うるしもん
)
の
麻裃
(
あさがみしも
)
に朱鞘の
長刀
(
なががたな
)
を横たへて、朝夕「あんちおきや」の帝の御所を守護する役者の身となつたが、
幸
(
さいはひ
)
ここに功名手がらを
顕
(
あらは
)
さうず時節が到来したと申すは
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
茶屋で、「お傘を。」と言ったろう。——「お傘を」——家来どもが居並んだ処だと、この
言
(
ことば
)
は殿様に通ずるんだ、それ、
麻裃
(
あさがみしも
)
か、
黒羽二重
(
くろはぶたえ
)
お
袴
(
はかま
)
で、すっと
翳
(
さ
)
す、姿は好いね。処をだよ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
女にしても見まほしい
腮
(
あぎと
)
から
横鬢
(
よこびん
)
へかけて、心持ち青々と苦味走ったところなぞ、
熨斗目
(
のしめ
)
、
麻裃
(
あさがみしも
)
を着せたなら天晴れ何万石の若殿様にも見えるであろう。俺ほどの男ぶりに満月が惚れぬ筈はない。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
本阿弥
(
ほんあみ
)
だの、
徒目付
(
かちめつけ
)
だの、
石出帯刀
(
いわでたてわき
)
だのという連中が来てズラリと並び、斬り手の朝右衛門は
手代
(
てがわ
)
り弟子らと共に
麻裃
(
あさがみしも
)
でやって来て、
土壇
(
どだん
)
の上や試しの方式にはなかなかの故実を踏んでやることを
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
廻礼の
麻裃
(
あさがみしも
)
や、供の
萌黄
(
もえぎ
)
の風呂敷が、チラリホラリと通るだけ、両側の店も全く締めて、飾り松だけが、青々と町の風情を添えております。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
麻裃
(
あさがみしも
)
を着た男のほうは三十四五にみえるが、婦人はずっと若く、娘のようなういういしい面ざしをしていた。
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すると、城の
狭間
(
はざま
)
から、髪の白い一人の老武士が顔をだした。見ると、物の具をすっかり解いて、
麻裃
(
あさがみしも
)
に平服を着ているのである、白扇を振って答えながら
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頃は言ふ迄もなく、幕府の規綱も民間風俗も、型にはまるだけはまりきつた時代で、
麻裃
(
あさがみしも
)
に威儀を正して、腰に一本きめ込んだ年始廻り。
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
控え所には宗兵衛がいて、むろんいまの裁きを聞いたのだろう、
吃驚
(
びっくり
)
したような顔で呼びかけたが、直衛は「あとであとで」と首を振り、
麻裃
(
あさがみしも
)
のまま役所から出ていった。
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
引きむしるやうに棺の白絹を剥ぐと、中から轉げ出したのは、何んと
麻裃
(
あさがみしも
)
に威儀を正して、
座禪
(
ざぜん
)
姿になつて居た、藤屋彌太郎の血潮に
塗
(
まみ
)
れた姿だつたのです。
銭形平次捕物控:177 生き葬ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
麻裃
(
あさがみしも
)
で弓を持ち、矢壺に作法通り矢を二本入れ、馬を馬場へ乗入れてきたが、正面桟敷に向って一礼すると、
肩衣
(
かたぎぬ
)
の右をはね、馬首をめぐらして矢来の外を一巡乗り廻した。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御薬園の門前に迎えたのは、峠宗寿軒、五十がらみの総髪で、元々本草家で武士ではありませんが、役目ですから、
麻裃
(
あさがみしも
)
を着けて将軍を高田御殿へ案内します。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……それから中三日おいて、平松吉之助が来た、御内意で来たと云って
麻裃
(
あさがみしも
)
を着けていた、さては書物のお召上げかと訊くと、「そうだ」と云う、然しただお召上げだけではなかった。
ひやめし物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御藥園の門前に迎へたのは、
峠宗壽軒
(
たうげそうじゆけん
)
、五十がらみの總髮で、元々本草家で武士ではありませんが、役目ですから、
麻裃
(
あさがみしも
)
を着けて將軍を高田御殿へ案内します。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は
麻裃
(
あさがみしも
)
に改めて、辞任の挨拶にまわった。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
麻裃
(
あさがみしも
)
は着ておりますが、
拳骨
(
げんこつ
)
を
懐
(
ふところ
)
へねじ込んでイザといえば、これをパッと脱ぎそうな形になります。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「登城ですよ、
麻裃
(
あさがみしも
)
を出して下さい」
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
麻裃
(
あさがみしも
)
を善八に着せると、私は此處に殘り、利三郎さんは棺の世話をして、幕の外へ出た筈で——」
銭形平次捕物控:177 生き葬ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは兎も角として、
先刻
(
さつき
)
まで紋附姿で多勢の客に愛嬌を振り撒いて居た主人の藤屋彌太郎は、この時
麻裃
(
あさがみしも
)
に着換へて、正面壇上に据ゑた、
檜
(
ひのき
)
の
棺
(
くわん
)
の中に納まりました。
銭形平次捕物控:177 生き葬ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃はまだ、大検使小検使などいうことはありませんが、寺社奉行からは、係の者が二人出張、町役人、寺の世話人、檀家総代などと、
麻裃
(
あさがみしも
)
に威儀を正して居流れます。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一人娘の嫁入りの儀式に
連
(
つら
)
なる禮裝の
麻裃
(
あさがみしも
)
、兩刀を高々と
手挾
(
たばさ
)
んだのを、後ろに廻して、膝の汚れも構はず、乘物の中に手を突つ込み、娘の首を起してハツと息を呑みました。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一人娘の嫁入りの儀式に
連
(
つら
)
なる礼装の
麻裃
(
あさがみしも
)
、両刀を高々と
手挟
(
たばさ
)
んだのを、後ろに廻して、膝の汚れも構わず、乗物の中に手を突っ込み、娘の首を起してハッと息を呑みました。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
麻裃
(
あさがみしも
)
を着た口上言ひが一人、
月代
(
さかやき
)
と鼻の下に青々と繪の具を塗つて、尻下がりの丸い眉を描いて居りますが、顏立は立派な方で、身のこなし、物言ひ、妙に職業的な
輕捷
(
けいせふ
)
なところがあります。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
麻裃
(
あさがみしも
)
を着た口上言いが一人、
月代
(
さかやき
)
と鼻の下に青々と絵の具を塗って、尻下がりの丸い眉を描いておりますが、顔立は立派な方で、身のこなし、物言い、妙に職業的な
軽捷
(
けいしょう
)
なところがあります。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
麻
常用漢字
中学
部首:⿇
11画
裃
漢検1級
部首:⾐
11画
“麻”で始まる語句
麻痺
麻布
麻
麻雀
麻疹
麻裏
麻縄
麻上下
麻糸
麻酔