鰹節かつをぶし)” の例文
鰹節かつをぶしだいの立派な伽羅の木を見せられた事があつたが、仏蘭西フランス語では、ボア・ド・エーグルと云ふのだと、部長のモーラン氏に教へられた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
米味噌醤油しやうゆ鰹節かつをぶしちや蝋燭らうそくまでをも用意よういして従者ずさにもたせて立いでしは文政十一年九月八日の事なりき。
帷幄ゐあくさんして、蝶貝蒔繪てふがひまきゑ中指なかざし艷々つや/\しい圓髷まるまげをさしせてさゝやいたはかりごとによれば——のほかにほ、さけさかなは、はしのさきで、ちびりと醤油しやうゆ鰹節かつをぶしへてもいゝ、料亭れうてい持出もちだし)
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
差換さしかへの一と腰は一年も前に質流れになつて、あとは刄物と言へば、お勝手の菜切庖丁だけ、それも男世帶で鰹節かつをぶしも削れば、時には薪も割る、まるでのこのやうになつて居るよ、いやもう
食糧しよくれうは米一石餅三斗、之れ十七人の分にして皆人夫をしてはしむ、人夫は此他に各自の食糧しよくれうを各準備じゆんびしたり、其他草鞋わらじ二百足、馬桐油うまとうゆ三枚、鰹節かつをぶし数十本及かまなべ味噌みそ醤油しようゆ食塩しよくゑん等を用意したり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「これは、しやぼん、鰹節かつをぶし以上いじやうですな。——道中だうちうそんずること承合うけあひですぜ。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところで、その、お差支さしつかへのなさをうらがきするため、かね知合しりあひではあるし、綴蓋とぢぶた喜多きた家内かないが、をりからきれめの鰹節かつをぶしにんべん買出かひだしにくついでに、そのねえさんのうち立寄たちよつて、同行三人どうかうさんにん日取ひどりをきめた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)