魅力みりよく)” の例文
が、少くとも女性の読者に多少の魅力みりよくのあることは決して「勤人つとめにん」や「海上日記」や「葡萄酒ぶだうしゆ」のあとには落ちない筈である。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あの牌音パイおとくといふ力強ちからづよ魅力みりよくがある。だからこそ、麻雀マアジヤンすこあそびをおぼえると、大概たいがいひとが一熱病的ねつびやうてきになつてしまふ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
色の少し淺黒いのも、この娘に取つては清潔らしく、第一眼鼻立ちの不揃ひな魅力みりよくは、江戸の下町でなければ、日本中何處へ行つても見られない型です。
が、麻雀マアジヤンたちまちにして日本にほん社會しやくわい飛躍ひやくした。これは一めんあきらか麻雀戲マアジヤンぎそのものの魅力みりよくからだ。そして、一めん空閑緑くがみどり以下いか識者しきしや盡力じんりよくからにちがひない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
お勢の妖しい魅力みりよくは、間もなく麹町中の若い者を氣違ひにするのではあるまいかと思ふやうでした。
で、それほどばくちきな支那人しなじん工夫くふう考案かうあんしたものだけに、麻雀マアジヤンほど魅力みりよくのある、かんじのいい、くことをらないあそびはまア世界せかいにもあるまいかとおもはれる。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
阿諛あゆ諂佞てんねいに取卷かれ、人を見下みくだしてばかり來た貫兵衞は、自分の世帶になつて、世の中に正面から打つかつた時、初めて、自分の才能、容貌ようばう魅力みりよく——等に對する
三千五百石取の旗本の妾——の町藝妓が匂ふにしても、何となく不思議な魅力みりよくを持つた女です。
父親の駒吉に似た小柄ですが、愛嬌あいけうがあつてキビキビして、すぐれた氣性を内に包み乍ら、何んか斯うき通る樣な清らかさと、沁み出す樣な魅力みりよくを感じさせる娘でした。
自棄やけ櫛卷くしまきにした多い毛にも、わざと白粉おしろいを嫌つた眞珠色の素顏にも、野暮を賣物にした木綿の單衣ひとへにも、つゝみ切れない魅力みりよくが、夕映ゆふばえと一緒に街中に擴がるやうな女でした。
めひのお糸は弱い身體にむちうつやうに、痛々しい足を引いて、甲斐々々しく働き續け、こればかりは、暗い越後屋の中にも美しさと、明るさと、魅力みりよくとをき散らして居ります。
丈夫で、元氣で、イナセで、若旦那模樣の千之助——災難に逢ふ前の男つ振りも評判でしたが、江戸の若い娘達が、丸屋の長次郎の方により強い魅力みりよくを感じたのも無理はありません。
二人が小屋へ入つた時は、まだ木戸を明けたばかり、お倉に比べると一向魅力みりよくのない大年増が、型の如く鹽辛聲しほからごえを振り絞つて居りますが、何うした事か、更に客の入る樣子はありません。
久三郎は親の久藏に似ぬ、少し頑固ぐわんこらしい感じの三十男で、その妹のお染は、十九といふにしては少しませた、口數の多い、お轉婆娘らしいところが、たまらない魅力みりよくでもあると言つたたちの娘です。