飲食おんじき)” の例文
旧字:飮食
合手して身を虎の前に投じ母虎これを食うて母子ともにくるを得た、王夫人の使飲食おんじきを齎し翌日来ってこの事を聞き走り帰って王に報じ
化度けどしたいというのが、即ち仏菩薩なので、何も蓮花れんげの上にゆったり坐って百味の飲食おんじきくらこうとしているのが仏菩薩でも何でも無い。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
七左 おふくろどの、ぬしがような後生の好人いいひとは、可厭いやでも極楽。……百味の飲食おんじきはすうてなに居すくまっては、ここに(胃をたたく)もたれてうない。
錦染滝白糸:――其一幕―― (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから極楽に生まれ、浄土へ行っても、自分独りが蓮華はすうてな安座あんざして、迦陵頻伽かりょうびんがたえなる声をききつつ、百飲食おんじきに舌鼓を打って遊んでいるのでは決してありません。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
(急に自分の地位をはっきりと意識したるごとく)あゝわしはどうして死にきれないのだ。すでに三七日も飲食おんじきっているのに! わしは干死ひじにすることもできないのか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
これなるは小香魚こあゆのせごし、香魚のあめだき、いさざの豆煮と見たはひがめか、かく取揃えし山海の珍味、百味の飲食おんじき、これをたらふく鼻の下、くうでんの建立こんりゅうに納め奉れば
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
極楽世界の百味の飲食おんじき もこれに及ぶまいかと思うほどうまかったです。でまあ椀に二杯位喰いますとそれでその日の食事はすむのです。もちろんこれまでとてもいつも一食いちじきしかやりません。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ここの領下とて、いつ修羅しゅらちまたとなろうも知れぬが、ならばなおさらぞ。およそ人間の生命力とは子を生む。喰う。闘う。沙門しゃもんのいう、愛慾即是道。飲食おんじき即是道。闘争即是道。の三つに尽きると聞く。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ありやうは春のあした飲食おんじきも色に見ずてはつひに寒けき
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
飲食おんじきのうしとて昼寝びたりかな
最上の飲食おんじきもて常に快楽し、妙衣厳飾おもうところ随意に皆あり、しかれどもその頂上常に竜蛇の頭あるを免れぬとある。
なにとぞ飲食おんじきをおとりください。私が苦心してあり求めてきたのでございますから。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
これなるは小香魚こあゆのせごし、香魚のあめだき、いさざの豆煮と見たはひがめか、かく取揃えし山海、いや山湖の珍味、百味の飲食おんじき、これをたらふく鼻の下、くうでんの建立に納め奉れば
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
常に好める飲食おんじき衣服えふくを得るも
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次に貧婦の小舎こやたたくと、歓び入れてあるたけの飲食おんじきを施し、藁の床に臥さしめ、己は土上に坐し終夜眠らず、襦袢を作って与え、朝食せしめて村外れまで送った。
如意珠を持って焼香礼拝し、まず願を発していわく、わがために食をらせよ、と。語に随ってすなわち百味の飲食おんじきを雨らす。かくのごとく種々のもの意に随って宝を得。
『正法念処経』七十に竜と阿修羅と赤海下に住み飲食おんじきの故に常に共に闘う、〈また大海あり、名づけて竜満という、諸竜あり、旃遮羅と名づく、この海中に住み、自ら相闘諍す〉。
ただ食時に至り厨家ごとに香火をすすむれば、あらゆる飲食おんじき随って前に列すと。
香花こうげを飾って極めて清浄ならしめ、葡萄、甜漿てんしょう酥乳そにゅうかゆを各八器に盛ってて、しかる時八道人ありて汝が供物を食うはず、さて飲食おんじきしおわったら、汝杖を以て上座した者の頭を打ちすみに入れと言え