てん)” の例文
病人びやうにんは七てんたうして悲鳴ひめいげるのが、むすめ背中せなかへぴつたりとむねをあてゝかたおさへてると、我慢がまん出来できる、といつたやうなわけであつたさうな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しこうして彼が九てん十起、堅忍けんにん不抜ふばつ、いよいよ窮していよいよ画策かくさくし、いよいよつまずきていよいよ奮うに至っては、恐らくは十の松陰あるも、また及ぶ所無けん。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
陸の黒旋風こくせんぷうも水中では手も足も出ず、張順の思うままにおぼらされて、七てん八倒の飛沫しぶきをたてたが、またたちまち、もくもくもく……と水中深くに引きずり込まれた様子だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見るとうとい提灯の灯に照らされて、藤屋の萬兵衞が七てんたうの苦悶を續けて居るのです。
滔々たう/\たる水路すゐろ五百余里よりながれて東海に入り、巨濤こたうに千たうし風波に万てんすれども断折だんせつ砕粉さいふんせず、直身ちよくしん挺然ていぜんとして我国の洋中おきなかたゞよひ、北海の地方にちかより、椎谷しひや貧民ひんみんひろはれてはじめて水をはな
と込上げ揉立もみたて、真赤まっかになった、七てんとう息継いきつぎに、つぎざましの茶を取って、がぶりと遣ると
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
滔々たう/\たる水路すゐろ五百余里よりながれて東海に入り、巨濤こたうに千たうし風波に万てんすれども断折だんせつ砕粉さいふんせず、直身ちよくしん挺然ていぜんとして我国の洋中おきなかたゞよひ、北海の地方にちかより、椎谷しひや貧民ひんみんひろはれてはじめて水をはな