頸首えりくび)” の例文
や、兩脚りやうあしが、むづ/\、脊筋せすぢがぴち/\、頸首えりくびへぴちんとる、わたし七顛八倒しつてんはつたうして身體からだつて振飛ふりとばした。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夏の夜は蚊が多かった。蒲団扇かばうちわを動かして槐樹の下に坐り、茂り葉の隙間から、あの一つ一つの青空を見ていると、晩手おくて槐蚕やままゆがいつもひいやりの頸首えりくびの上に落ちる。
「吶喊」原序 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その細いきゃしゃな頸首えりくびがくっきりした白さで、しずかに呼吸につれてうごいた。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
が、葉之助は頸首えりくびを捉え、ギューッと地面へ押し付けた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一日いちにもばうつて、田圃たんぼかはみづんでところを、見懸みかけたむらわかいものが、ドンとひとかたをくらはすと、ひしやげたやうにのめらうとする。あわてて、頸首えりくび引掴ひツつかんで
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かしこまつてさふらふと、右左みぎひだりから頸首えりくびつてのめらせる、とおめかけおもておほうたとき黒髯くろひげまゆひそめて
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ボーンと飛んで、額、頸首えりくびせなか、手足、殿たちの身体からだにボーンと留まる、それを所望じゃ。物干へ抜いて、大空へって帰ろう。名告なのらしゃれ。蠅がたからば名告らしゃれ。名告らぬと卑怯ひきょうなぞ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と言う、頸首えりくびを、空から天狗てんぐ引掴ひッつかまるる心地がして
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)