青物あをもの)” の例文
さういふ伴侶なかまことをんな人目ひとめすくな黄昏たそがれ小徑こみちにつやゝかな青物あをものるとつひした料簡れうけんからそれを拗切ちぎつて前垂まへだれかくしてることがある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
青物あをものもやはり奧へゆけばゆくほど堆高うづたかく積まれてゐる。——實際あそこの人參葉の美しさなどは素晴しかつた。それから水に漬けてある豆だとか慈姑くわゐだとか。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
おくめるひと使つかへるをんな、やつちや青物あをものひにづるに、いつも高足駄たかあしだ穿きて、なほ爪先つまさきよごすぬかるみの、こと水溜みづたまりには、ひるおよぐらんと氣味惡きみわるきに、たゞ一重ひとへもりづれば
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
果実このみ青物あをもの北国ほつこく
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
與吉よきち貧乏びんばふ伴侶なかま佳味相うまさう青物あをものかじつてるのをておつぎに強請せがむことがあつた。勘次かんじうちではどうかするとあさつておほきな南瓜たうなす土間どまころがつてることがある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)