露命ろめい)” の例文
「さようなら左門先生! あなたののこした足跡そくせきによって、少年連盟は、二年の露命ろめいをつなぐことができました」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
事実は、彼らの露命ろめいをつなぐ食糧、すなわち、昆虫がいなくなるからであって、つばめにしてみれば、食を得るための移動なのである。南へ行かねば彼らのくらしがたたない。
鰻の話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
いままではほかの食堂で露命ろめいをつないでいたのであるが、露店商売をはじめてみると、なかなか時間が惜しくて、店なんかあけていられないし、それにあの商売はとても腹がへるので
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おくるや可惜あたら若木わかきはなにおくれてぬべきやまひいえたるものゝわづ手内職てないしよく五錢ごせん六錢ろくせん露命ろめいをつなぐすべはあらじをあやしのことよとたづねるに澆季げうきとはくものゝなほ陰徳者いんとくしやなきならで此薄命このはくめい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ビフテキが燒いてある?………ほ、それは結構けつこうだね。お前はも強壯な筈だから、ウンと堪能たんのうするさ。俺は殘念ながら、知ツての通り、半熟はんじゆくの卵と牛乳で辛而やつと露命ろめいつないでゐる弱虫だ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
厄難やくなんさうあるによりよくつゝしめとの事故どういたしたならのがるゝ事やと御聞おきゝ申たれば前世の因縁いんえんより此世に於て災難さいなんあふなれば遁るゝ事はなり難し然ども命にはつゝがないとのおほせなりしが今日まではまづ露命ろめい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)