“霏々(ひゝ)” の例文
かの長生殿裡(ちやうせいでんり)日月(じつげつ)のおそき處(ところ)、ともに𢌞風(くわいふう)の曲(きよく)を唱(しやう)するに當(あた)りてや、庭前(ていぜん)颯(さつ)と風(かぜ)興(おこ)り、花(はな)ひら/\と飜(ひるがへ)ること、恰(あたか)も霏々(ひゝ)として雪(ゆき)の散(ち)るが如(ごと)くなりしとぞ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
これらの図(づ)をなほ多くあつめ文を添(そへ)させ私筆にて例(れい)の絵本(ゑほん)となし候はゞ、其書(しよ)雪の霏々(ひゝ)たるがごとく諸国(しよこく)に降(ふら)さん事我(わ)が筆下(ひつか)に在(あ)りといはれたる書翰(しよかん)、今猶牧之(ぼくし)が書笈(しよきふ)にをさめあり。
嶺(みね)あり、天(てん)を遮(さへぎ)り、關(せき)あり、地(ち)を鎖(とざ)し、馬(うま)前(すゝ)まず、——馬(うま)前(すゝ)まず。——孤影(こえい)雪(ゆき)に碎(くだ)けて濛々(もう/\)たる中(なか)に、唯(と)見(み)れば一簇(いつそう)の雲(くも)の霏々(ひゝ)として薄(うす)く紅(くれなゐ)なるあり。風(かぜ)に漂(たゞよ)うて横(よこ)ざまに吹(ふ)き到(いた)る。日(ひ)は暮(く)れぬ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)