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霏々
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ひゝ
かの
長生殿裡日月のおそき
處、ともに
𢌞風の
曲を
唱するに
當りてや、
庭前颯と
風興り、
花ひら/\と
飜ること、
恰も
霏々として
雪の
散るが
如くなりしとぞ。
これらの
図をなほ多くあつめ文を
添させ私筆にて
例の
絵本となし候はゞ、其
書雪の
霏々たるがごとく
諸国に
降さん事
我が
筆下に
在りといはれたる
書翰、今猶
牧之が
書笈にをさめあり。
嶺あり、
天を
遮り、
關あり、
地を
鎖し、
馬前まず、——
馬前まず。——
孤影雪に
碎けて
濛々たる
中に、
唯見れば
一簇の
雲の
霏々として
薄く
紅なるあり。
風に
漂うて
横ざまに
吹き
到る。
日は
暮れぬ。