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ふけ
ふりがな文庫
“
雲脂
(
ふけ
)” の例文
「何だい、八、
先刻
(
さっき
)
から見ていりゃ、すっかり考え込んで火鉢へ
雲脂
(
ふけ
)
をくべているようだが、俺はその方がよっぽど気になるぜ」
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私の頭の
雲脂
(
ふけ
)
を落したり、
梳
(
す
)
いたりしてくれた上に、「少しお頭を拝借させて下さい」と、水油を少し附けて、
丸髷
(
まるまげ
)
に結ってくれました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
すると、私自身でも思いがけなかったほど、その柱はひどくグラグラしていて天井から
砂埃
(
すなぼこり
)
が二人の
襟足
(
えりあし
)
に
雲脂
(
ふけ
)
のように降りかかって来た。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「そんな物は私達には要りません。読んだだけの書物はちやんと
此処
(
ここ
)
に
蔵
(
をさ
)
めてありますからね。」と調子に乗つて
雲脂
(
ふけ
)
だらけな頭を指さした。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私の洋服の織目には、書物の埃がたまり、機械的に働かせる頭には、白い
雲脂
(
ふけ
)
がたまっている。毎日午前九時から午後四時まで、月給百円……。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
『君は
雲脂
(
ふけ
)
取り香水は何を使っているかね?』なんて突然訊く。この間道で行き会ったら、『や、好いお天気ですね、これから一寸散髪屋へ参ります』
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
健三は
箸
(
はし
)
を放り出して、手を頭の中に突込んだ。そうして
其所
(
そこ
)
に
溜
(
たま
)
っている
雲脂
(
ふけ
)
をごしごし落し始めた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
西洋人の口は玉葱臭く日本人の口は沢庵臭し。善良なる家庭は
襁褓
(
おしめ
)
くさく不良なる家庭は
乾魚
(
ひもの
)
臭し。
雲脂
(
ふけ
)
くさきは書生部屋にして安煙草の
脂
(
やに
)
臭きは区役所と警察署なり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(
三輪
(
みい
)
ちゃん、さようなら。)って
俯向
(
うつむ
)
くんです、……
枕
(
まくら
)
にこぼれて束ね切れないの、私はね、
櫛
(
くし
)
を抜いて
密
(
そっ
)
と解かしたのよ……
雲脂
(
ふけ
)
なんかちっとも無いの、するする綺麗ですわ
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兄貴のフェリックスは、
蹲
(
うずく
)
まって、
金盥
(
かなだらい
)
をゆすぶり、
獲物
(
えもの
)
を受け取っている。彼らは、
雲脂
(
ふけ
)
に
混
(
まじ
)
って落ちてくる。
剪
(
き
)
った
睫毛
(
まつげ
)
のように細かな
脚
(
あし
)
が、ぴくぴく動くのが見分けられる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
頭髪に
雲脂
(
ふけ
)
がたまるやうに、日を追うて からだにも、疲労がたまり、垢がたまる。
独楽
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
すっかりくさった左膳、髪の中へ指をつっこんで、ガリガリ掻くと、
雲脂
(
ふけ
)
がとぶ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
細君は今髪を解いて荒櫛を入れてしまつて
雲脂
(
ふけ
)
落しをして居る。鶴子さんは心地よさゝうに顏を顰めながら、兩手には新聞紙を持つて雲脂を受けて居る。「大變な雲脂だねえ」と細君は言ふ。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
二週間ほどして、ある朝銀子は病床のうえに起きあがり、タオルを肩にかけて、
痒
(
かゆ
)
みの出て来た頭の髪をほどき、
梳櫛
(
すきぐし
)
を入れて
雲脂
(
ふけ
)
を取ってもらっているところへ、写真師の浦上が入って来た。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
然るに今日は全く彼はやつれて居た。引続いての多忙と、引続いての寝不足とが、彼の顔色を蒼ざめさせ、
生際
(
はへぎは
)
のあたりにいくらかの
雲脂
(
ふけ
)
さへ見える。美しい彼の頬にも
荒
(
すさ
)
んだ色があらはれてゐた。
瘢痕
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
それらの歌は、ちょうど松の木の皮のように、あるいは人の頭の
雲脂
(
ふけ
)
のように、古代人の生活の幹から脱落していったが、書かれたものでなかったから、大方はみな消えはててしまったと思われる。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
頭のかゆいのは幸福であるしるし、
雲脂
(
ふけ
)
が落ちるのは理智のしるし。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「何だい、八、先刻から見て居りや、すつかり考へ込んで火鉢へ
雲脂
(
ふけ
)
をくべて居るやうだが、俺はその方が餘つ程氣になるぜ」
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
七年間の習慣の殼、頭と身体とにたまってる
雲脂
(
ふけ
)
、薄暗い図書館と陰欝な生活との影、それを一挙に払いのけようとした。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
画家
(
ゑかき
)
のミレエの細君は貧乏で食べる物が無くなつた時には、
雲脂
(
ふけ
)
だらけな頭をした亭主を胸に抱へて、
麺麭
(
パン
)
の代りだといつて、熱い
接吻
(
キツス
)
をして呉れたものださうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
銀子は
梳
(
す
)
いた髪をいぼじり
捲
(
ま
)
きにしてもらい、少しはせいせいして、何か胸がむず
痒
(
がゆ
)
いような感じで
膝
(
ひざ
)
のうえで雑誌をめくったりしていたが、小谷さんは新聞にたまった
雲脂
(
ふけ
)
と落ち毛を寄せて
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「厭な、どうして、こんなに
雲脂
(
ふけ
)
が
生
(
で
)
きて?」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雲脂
(
ふけ
)
の多い母親の髪を
釈
(
と
)
いて
梳
(
す
)
いてやっていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“雲脂(
頭垢
)”の解説
頭垢(ふけ、雲脂、英:dandruff)とは、頭の皮膚から発生する、うろこ状の白い老廃物。頭皮に生じた垢。新陳代謝によって頭皮に存在する角質細胞が剥がれることにより発生する。
(出典:Wikipedia)
雲
常用漢字
小2
部首:⾬
12画
脂
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
“雲脂”で始まる語句
雲脂取