みなごろし)” の例文
伜幸吉には何の罪も無之、あくまでも成瀬屋をうらむは此冠兵衞に候。その證據として近々一家をみなごろしに仕る可く隨分要心堅固に被遊可あそばさるべく候 頓首
あれも拙者などに云わせると売名上手のはらなし書生だ、回天詩史の中に『すなはち直に夷人の舎に入り臂力をふるひ、夷虜をみなごろしにし』
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
五十万ママを以て三隻の水雷船すいらいせんを造り、以て敵をみなごろしにすべしなど真に一じょう戯言ぎげんたれども、いずれの時代にもかくのごとき奇談きだんは珍らしからず。
また米を得るためには無数の浮塵子ふじんし(うんかのこと)をみなごろしにせねばならず、単に薔薇の花を賞玩するためのみにも数万の蚜虫あぶらむしを殺戮せねばならぬ
濃紅こべに姫や、家中かちゅうの人々をみなごろしにして、只自分独り生き残って、そうしてこの国の女王となって、勝手気儘な事をしようと思っておられるので御座いますぞ
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
貴殿一家は間もなくみなごろしに会うであろう。一人ずつ、一人ずつ、次々と世にもいまわしき最期をとげるであろう
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
鉄をつんざき、いはほを砕くのためし、ましてや家をめつし、人をみなごろしにすなど、ちりを吹くよりもやすかるべきに、可恐おそろしや事無くてあれかしと、お峯はひと謂知いひしらず心をいたむるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
村田嘲笑って曰く、「ひとつ官軍の奴共を、この狭隘の地に引入れて、みなごろしにして見せるかな」
田原坂合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「撃てッ! 撃てッ! パルチザンをみなごろしにしてしまうんだ! うてッ! うたんか!」
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
また『西域記』十二にいにし瞿薩旦那くさたな国王数十万衆を整えて東国の師百万をふせぎ敗軍し、王はいけどられ将士みなごろしにさる、その地数十けい血に染みて赤黒く絶えて蘗草くさなしと見ゆ、南インド
班超は非常手段の外に良策なきを覺り、不虎穴虎子といふ警句を以て、その同伴者を激勵いたし、三十六人にて匈奴の一行を夜襲して、その正副使以下をみなごろしにした。
東漢の班超 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
しかりといえども乃祖だいそ元就もとなり寡兵かへいひっさげ、陶賊とうぞく厳島いつくしまみなごろしにしたる、当年の覇気はきことごとく消沈し去らんや。天下一朝動乱の機あれば、先ず徳川幕府に向って楯を突くものは、長にあらざれば必らず薩。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
倅幸吉には何の罪も無之これなくくまでも成瀬屋をうらむはこの冠兵衛に候。その証拠として近々一家をみなごろしに仕る可く随分要心堅固に被遊可あそばさるべく候 頓首
過激派討伐を命ぜられた限り、出来るだけ派手な方法を以て、そこらへんにいる、それに類した者をもみなごろしにしなければならない。こういう場合、派手というのは、残酷の同意語であった。
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
その復讐のために川手氏一家のみなごろしを企てたということ、犯人の一人の眼帯の男は本名を山本始といい、男装の女はその実の妹であることなどが分ったばかりで、二人とも変装をしていたので
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ソレッ。あの家の者をみなごろしにしてしまえ。あとは火をけて焼いてしまえ」
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
翌朝使人樹より下り賊の兵器もて群賊の尸に傷つけ、五百馬と宝を収め隣国王に面し、われ君のために群賊をみなごろしにし盗まれた品ことごとく返上すともうす、王人をして検せしむると群賊皆傷つき死せり