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や
「
相變らず
精が
出ますね」と
云つたなり、
長火鉢の
前へ
胡坐をかいた。
嫂は
裁縫を
隅の
方へ
押し
遺つて
置いて、
小六の
向へ
來て、
一寸鐵瓶を
卸して
炭を
繼ぎ
始めた。
「そら/\」といひながら、
手を
出して
待つて
居る
與吉へ
遺つた。おつぎは
砂糖の
附いた
自分の
手を
嘗めた。
與吉は
其砂糖をお
袋の
懷へこぼしながら
危な
相につまんでは
口へ
入れる。
『
今に
出るよ』と
遺ると『
今に
出てから
始めやう』と
反らす。