べん)” の例文
「甚兵衛さん、今日きょうのようにこまったことはありません。たぬきき声を知らないのに、けとなんべんもいわれて、私はどうしようかと思いました」
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
卑俗なたとえだけれど、小児こどもが何とかすると町内を三べん廻らせられると言つた形で、此が大納言の御館みたちを騒がした狂人であるのは言ふまでもなからう。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彗星は尾を強く二三べん動かしおまけにうしろをふり向いて青白い霧をはげしくかけて二人を吹き落してしまいました。
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ウーム、そうか」弁円は太くうめいて、もう体を武者ぶるいが走ってならないように、手に持っていた半弓を、ぶん、ぶん、と二、三べんつる鳴りを試みながら
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さくらいたか、まだかぬ、はなより団子だんごでおちゃがれ、おちゃがすんだら三べんまわって煙草たばこ庄助しょうすけ
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
と声高らかに詠誦えいじゅする事三べんにして、くだんの絵巻物をかたわらの火炉中に投じ、一片の煙と化しおわんぬ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「どうもダイさんとしては地所程好いダイ産はありませんからナ」の百万べんを聞かされた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「冗談ぢやありませんよ。女角力を見たのはたつた三べんだけですよ」
全身の力を咽喉のどに集めて、わあと云う懸声かけごえをだした。それを一日に一万べんやることになっていた。彼も他人の使わない洞穴を求めてその懸声をはじめた。そして、空腹になれば木の実を探しに往った。
仙術修業 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あすは此いほりにて百万べんをなしてお菊が仏果ぶつくわのいとなみにせん。
「三べんまわっておじぎしろ」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そしてひばりの親子は二、三べん辞儀じぎをして、あわててんで行ってしまいました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのまたこうのあの山えて、この山えて、さくらいて、お山のからすが団子だんごほしいとないた、ではない、はなより団子だんごでおちゃがれ、おちゃがすんだら三べんまわって煙草たばこ庄助しょうすけさんが
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかし、自分の口からいったのでは、百万べん説いたにせよ
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの人は私は知ってますよ。ニュウヨウクで二三べん話したんです。大学生です。」
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)