輪廓りんくわく)” の例文
肩で暖簾を揉んで、輪廓りんくわくかすむやうな眞白な顏を出したのは、二十一、二の女、素人とも玄人ともつかぬ、拔群の艶めかしさを發散させます。
性質も沈むでゐるが、顏もくすむでゐる、輪廓りんくわくの大きい割に顏にちつともゆとりが無くほゝけてゐる、鼻はとがツてゐる、口は妙に引締ツてあごは思切つて大きい。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
だいいち輪廓りんくわくのぼんやり白く光つてぷるぷるぷるぷるふるへてゐることでもわかります。
朝に就ての童話的構図 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
輪廓りんくわくといひ、陰影いんえいひ、運筆うんぴつといひ、自分じぶんたしかにこれまで自分じぶんいたものは勿論もちろん志村しむらいたものゝうちでこれにくらぶべき出來できはないと自信じしんして、これならばかなら志村しむら
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
宗助そうすけひざいてぎんいろくろげたあたりから、くずかぜうらかへしてゐるいろかわいたさまから、大福だいふくほどおほきなまるしゆ輪廓りんくわくなかに、抱一はういつ行書ぎやうしよいた落款らつくわんをつく/″\と
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かう主婦が二人の少年にゆびさして見せた。川をまたいだ大きな鉄橋は暗いの闇の中に其輪廓りんくわくをはつきりと描いて居た。珍らしいものにあくがれて居る兄弟の心は躍らざるを得なかつた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
少し公卿眉くげまゆで、柔かい鼻筋、鼻の下が短かくて、心持受け口で、端麗と言つても宜い、輪廓りんくわくの正しい瓜實顏うりざねがほ、笑ふと僅かに笑くぼがよどんで、背は少し高い方——手足の華奢きやしや
そこで九万の軍隊は、もう輪廓りんくわくもはつきりなつた。
北守将軍と三人兄弟の医者 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
お北の言葉で、次第に事件の輪廓りんくわくが明かになつて行くやうです。
下手人の輪廓りんくわくが次第にはつきりして來ました。