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はしり
ぞ出帆したり
追々風も少し
吹出し
眞帆を七分に上て
走せハヤ四國の
灘を廻り
凡船路にて四五十里も
走しと思ふ頃吉兵衞は
船の
舳へ出て四方を
「むむ、それもそうさの。
私も信心をすみが、お
前もよく拝んで御免
蒙って来ねえ。廓どころか、浄閑寺の方も一
走が
可いぜ。とても
独じゃ
遣切れねえ、荷物は
確に預ったい。」
「なあんだ、いま
時分、お
月さまが
出ているよ。」と、
走りながら、
笑いました。
させ
然ばとて西濱の港より
友綱を
解順風に
眞帆十分に
引上走らせけるにぞ矢を
射る如く早くも中國四國の
内海を
打過ぎ晝夜の
差別なく
走て
晦日の夜の
亥の
刻頃とは成れり
船頭杢右衞門は
漸く
日和を