赫怒かくど)” の例文
赫怒かくどした佐伯に詰責されて禿は今度はおい/\声を挙げて泣き出し、つかまへようとした私から滑り抜けて飛鳥のやうに舎監室に走つた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
赫怒かくどして孫堅に名のりかけ、烈戦二十余合、火をとばしたが、孫堅はあくまでつかれた色も見せず、たちまち趙弘を斬って捨てた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かように天意に背かれたことをはばからず行われる殿に対しては、天神も地神も赫怒かくどなされ必ず福は授けますまい。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
デウス赫怒かくどしたまひ、ルシヘルこの罪によつてインヘルノにつ。これジャボの初めなり。このたぐひのジャボことすこぶる当今の貴国に多し。よつてくは布教に努む。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
くびのあたりを一と突きにやられ、床から抜け出し加減に血潮の中に縡切こときれ、境の唐紙を開けた次の長四畳には、薄暗い中に据えられた不動明王の木像が、赫怒かくどの面相物凄く
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「君等は猜疑心さいぎしんの為めに自殺するのか」流石さすがに行徳もつひ赫怒かくどせり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
女が泳げると見て向河岸の悪僧は、頭から湯気の立つ程赫怒かくどして
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
何かのはずみに帝赫怒かくどして蹴り所が悪くて暴崩した。
有馬喜兵衛ともある士が、小児の悪戯いたずらぐらいに赫怒かくどして、これとムキになって闘ったとなると、こいつは兵法家として成っていない男だ。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赫怒かくどが桂子へ返って来た。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
仲達のくちをつつんでいる疎々そそたる白髯はくぜんはふるえていた。あきらかに彼は赫怒かくどしていた。——がなお、それを手にしたままじっと見ていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おそらく彼は、この変を知ると同時に「——高家こうけ一族の浮沈」と赫怒かくどして、すぐにも戦場を去ってここへ駈けつけようとしたのではなかったか。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
韓猛かんもうの首を陣門にさらさせい」と、赫怒かくどして命じたが、諸将があわれんで、しきりに命乞いしたため、将官の任を解いて、一兵卒に下してしまった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
歌い終った後、揚州の刺史劉馥りゅうふくが、その詩句を不吉だといった。曹操は興をさまされて赫怒かくどし、立ちどころに剣を抜いて劉馥を手討ちにしてしまった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山木方が、赫怒かくどしたのは当然である。また、当夜の事件をもって、政子の父たる時政へ、責任を問い
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あやまって、それを伝右衛門が、踏みかどうかしたものか、御坊主が立腹した。甚だしく赫怒かくどした。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誰もが、ご赫怒かくどと見て、はっとしたらしいが、高時は階を下りて、大庭に立っていた。そして
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんどの如きも、信玄としては、かならずや謙信が赫怒かくどして、上州から碓氷うすい方面へり入って来るなり、或いは、手薄な信州方面にたいして、報復手段をとって来るものと予想していた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赫怒かくどして、これに当ると、李湛は、その勢いに恐れて、馬をかえしかけた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、大日の像を拝すれば、物事に当って、すぐ赫怒かくどし易い自分の短所が
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相手の冷静な容子ようすは、かえって、彼らの赫怒かくどさかんにした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赫怒かくどして、叱ると思いのほか、秀吉は笑い出していた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張飛が赫怒かくどしたことはいうまでもない。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当然、曹操は赫怒かくどした。楊修に向って
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、赫怒かくどして、追いかけた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張飛は、よけい赫怒かくどして
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蔡瑁は、赫怒かくどして
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
盛綱は、赫怒かくどして
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹仁は、赫怒かくどして
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明は赫怒かくどした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)