赤飯せきはん)” の例文
文「あゝ、そう/\、気の毒ながら米は其の儘文治が受取ります、明日みょうにち後役あとやく引受ひきうけの祝いとして、一同の者へ赤飯せきはんを振舞ってやるぞ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
赤飯せきはんは源平ボオ。小豆が赤(源氏)でメシが白(平氏)だからだ。このリュウコ(留置場)で俺は赤飯を食ったわけじゃない。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
赤飯せきはんをこしらえて配ろうというものもあるし、おまんじゅうを供養して、子供たちに分けようというものも出て来る。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
眞中まんなか卓子テエブルかこんで、入亂いりみだれつゝ椅子いすけて、背嚢はいなうかず、じうひきつけたまゝ、大皿おほざらよそつた、握飯にぎりめし赤飯せきはん煮染にしめをてん/″\につてます。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「薬がおさまるようになれば、もうしめたものだ。だがちっとは長びくだろうし、床上とこあげの時分は暑かろうな。こいつは一つ赤飯せきはんの代りに、氷あずきでもくばる事にするか。」
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
内でも赤飯せきはんいて、お目出度いお目出度いと親達が右左から私をあおがぬ許りにして呉れた。してみれば、矢張やッぱり名誉でお目出度いのに違いないと思って、私もおおいに得意になっていた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あわ赤飯せきはん 秋付録 米料理百種「日本料理の部」の「第五十 あわの赤飯」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今しも台所から出て来たこの家の下男の一作が、赤飯せきはん握飯にぎりめしを一個遣って追払おうとするのを、女はイキナリ土の上に払い落して、大きく膨脹ぼうちょうした自分の下腹部したはらを指しながら、頭を左右に振った。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
少女の生贄に代えて赤飯せきはんを供えることになった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まへなにふんだ、おせきさんぢやないお赤飯せきはんてえのだ。亭「お赤飯せきはんてえのはなんだ。妻「強飯おこはのことだよ。亭「ムー、お赤飯せきはんてえのか、さうか。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
頂上に中の茶屋があって、そこに休んで見ると赤飯せきはんがありました。その赤飯を大盤振舞おおばんぶるまいにして与力同心、仲間馬方に至るまで食いました。能登守もまたそれをつまんで喜んで食いました。
えゝ成程なるほどそれぢやア先刻さつきまへさんところへお赤飯せきはんげたれいなすつたのかね。甚「ヘイく知つてますね、横着者わうちやくもの。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
証拠人しようこにんならおつれなさい、此方こつちちつともおぼえのない事だから。甚「エヘヽヽヽ、ナニおせきさんぢやない赤いソノなんとかつたつけ、うむ、お赤飯せきはんか。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)