赤心まごころ)” の例文
既に我が身に引請んとするを暫時しばしと引留千太郎進みより否々いへ/\久八にては御座らぬと言んとするを押留おしとゞ尻目しりめかけて夫となく知らする忠義の赤心まごころ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さきにわがため命をすてし、阿駒おこま赤心まごころ通じけん、おぞくも爾釣り寄せられて、罠に落ちしもがれぬ天命。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
じぶんの赤心まごころを訴えてみても、「——さような儀は、とんと正成のあずかり知るところにあらず、人に、よい死に場所を与えよなどと申すおたのみは、迷惑至極」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべて何事なにごと赤心まごころをこめて一しんにやれば、かならずそれだけことはあるもののようでございます。
何卒どうぞわたくし共一同のいつわりのない赤心まごころをお酌み取り下さいまして、この上とも末永く御贔屓を賜わりますように、団員一同を代表致しまして、わたくしから幾重にもお願い申上る次第でございます
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「それさえ見棄てて、別れなければならないような、おろすなどという、飛んだことをしてくれた。」と蝶吉のうなじを抱いて口移しにんで含めるように、自分の赤心まごころを語るため、今まで久しい間
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤心まごころめて一しょう懸命けんめい祈願きがんをすれば、それがただちに神様かみさま御胸みむねつうじ、同時どうじ神様かみさまからもこれにたいするお応答こたえくだり、ときとすればありありとそのお姿すがたまでもおがませていただけるのでございます……。
両眼りょうがんなみだを一ぱいめて、赤心まごころこめてわたされた紀念きねん懐剣かいけん——それは刀身なかみといい、また装具つくりといい、まことに申分もうしぶんのない、立派りっぱなものでございましたが、しかしわたくしりましては、懐剣かいけんそのものよりも