誠実せいじつ)” の例文
旧字:誠實
然らば其時そのとき汝は宇宙うちう存在そんざいするすべての誠実せいじつなる人と一致いつちせしなり、一致のかたきは外が来て汝と一致せざるに非ずして汝の誠実せいじつならざるにあり。
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
でもこの肺炎はいえんのおかげで、わたしはアッケン家の人たちの親切、とりわけてエチエネットの誠実せいじつをしみじみ知ったのであった。
きみは、おばあさんをかばおうとしたばかりに、自分じぶんがけがをしたというはなしだが、わたしは、きみ誠実せいじつ感心かんしんするよ。」
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
そういう気持きもちをおしきって、全く誠実せいじつでないとわかっているきょくを書くような時には、をつけてかくしておいた。どう思われるだろうかとびくびくしていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
もちろん一番未来の勝利者は誠実せいじつなる方に在ることはきまって居りましょうけれども、今の外交上の場合には一時どうなるか分らんです。容易に判定することが出来ん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
かれは前足を右の耳の所へ上げて、軍隊ぐんたい風の敬礼けいれいをして、それをむねいて、あたかもわたしたちはかれの誠実せいじつ信頼しんらいすることができるというようであった。
ああ、なんでも単純たんじゅんかぎる。単純たんじゅんで、素朴そぼくなものは、きよらかだ。ちょうど、文明人ぶんめいじんより、原始人げんしじんのほうが、誠実せいじつで、感覚的かんかくてきで、能動的のうどうてきで、より人間にんげんらしいのとおなじだ。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
音楽では、高慢こうまんになってうそをつけば、きっとばちがあたる。音楽は謙遜けんそん誠実せいじつでなくてはならない。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
即ちくちびると手と一致いつちせざるものなり、即ち宗教をろうするものなり、即ち世の中に誠実せいじつてふものゝ実在じつざいするをしんぜざるものなり、即ち不実ふじつの人なり、即ちいま真理しんり会釈くわいしやくせざる人なり。
時事雑評二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
こころよくなってはたびたびあともどりをしたので、ほんとうの両親でもいやきがさしたかもしれなかった。でもエチエネットはどこまでもがまん強く誠実せいじつをつくしてくれた。
そのなやましげな顔には、なんともいえぬ誠実せいじつさが見えていた。クリストフは頬杖ほおづえをついて、彼を見守みまもりはじめた。もうよるになりかかっていた。ゴットフリートのかおは少しずつえていった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)