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あば
ふりがな文庫
“
訐
(
あば
)” の例文
私もその主人がダージリンにおける身持ちの悪い事を知って居りますから彼は私の事を
訐
(
あば
)
いて害を加えるような事もようしなかったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
青年共産党の委員会で作つた調査は、それ等の学校の悲惨を
訐
(
あば
)
いた。其の報告はペトログラアドで一九二〇年五月のプラウダに発表された。
死んだ魂
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
あの男は、人の
陰私
(
いんし
)
を
訐
(
あば
)
くことを好む者でございます、ただ罪を加えても伏しませんから、供書を取って、犯している罪を
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その上自分の心中の
私
(
わたくし
)
を去ることを
難
(
かた
)
んずる人程
却
(
かへ
)
つて他人の意中の
私
(
わたくし
)
を
訐
(
あば
)
くに
敏
(
びん
)
なるものである。九郎右衛門は一しよに
召
(
め
)
し
捕
(
と
)
られたいと云ふ。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
が、彼は一概に
之
(
これ
)
を馬鹿馬鹿しいと
蔑
(
けな
)
して
了
(
しま
)
うほどの
生物識
(
なまものじり
)
でもなかった。市郎は
飽
(
あく
)
までも科学的に
此
(
こ
)
の怪物の秘密を
訐
(
あば
)
こうと決心したのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
だが、なにも
他人
(
ひと
)
の秘密を
訐
(
あば
)
くでもなし、
何人
(
だれ
)
にもありがちのことだと大目に見ておいたがね、今になってみると、それがこっちの
手脱
(
てぬか
)
りだったよ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
僕の考では人が解釈すべからざる秘密だと思つてゐる
廉
(
かど
)
が、却てその秘密を
訐
(
あば
)
き易くするわけになるのだね。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
女房とならば亭主の私行を
訐
(
あば
)
くべし。議員とならば大臣に喰ってかかるべし。皆名を成すの道なり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
編者未だ
識別
(
しきべつ
)
すること
能
(
あた
)
ざれど
設
(
もし
)
果
(
はた
)
して
信
(
しん
)
ならしめば
吉宗
(
よしむね
)
ぬしが
賢明
(
けんめい
)
なるは
言計
(
いふばか
)
りもなく
僞
(
にせ
)
を
僞
(
にせ
)
として其の
惡
(
あく
)
を
訐
(
あば
)
き
奸
(
かん
)
を
鋤
(
すき
)
賊
(
ぞく
)
を
滅
(
めつ
)
するは之奉行職の
本分
(
ほんぶん
)
なれば
僞者
(
にせもの
)
の天一坊を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それよりもむしろそれから先は宗教家の努力の領域として残し、その道徳上の罪悪を他より
訐
(
あば
)
かずとも、自ずから悔悟せしむるに勉むるが
宜
(
よろ
)
しい。外人はその様な
詮議
(
せんぎ
)
立てをせぬ。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
須田は政宗が米沢を去った後に氏郷の方へ来て、政宗の秘を
訐
(
あば
)
いた者となって居る。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わが祕事は
訐
(
あば
)
かれたり。されどベルナルドオはこれを人に語るべくもあらず。ベルナルドオとわれとの交は、この時より
一際
(
ひときは
)
密になりぬ。
旁
(
かたはら
)
に人なき時は、われ等の物語は必ず神曲の事にうつりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「私の過去を
訐
(
あば
)
いてもですか」
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
年来の秘策を
訐
(
あば
)
かれたりし。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
正義を名として人の私行のみを
訐
(
あば
)
く日本の新聞紙の態度は社會道徳の墮落した結果からではなくて
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
元来チベット人は非常に
銭儲
(
ぜにもうけ
)
けを好む
質
(
たち
)
ですから、私の顔を見てチベットの役人にこうこういう者であると告げれば銭儲けになるという考えで
訐
(
あば
)
く者があるかも知れぬ。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
かう云つたからと云つて、己が何か秘密を
訐
(
あば
)
かうとするだらうだの、小説を書くだらうだのと思ふのは間違である。このフランス人に就いて己の話すのは簡単な事実に過ぎない。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
発売禁止の処分だけは、役人が
訐
(
あば
)
いて申し立てるのだが、政府が自然主義とか個人主義とか云って、文芸に干渉を試みるようになるのは、確かに攻撃的批評の
齎
(
もたら
)
した結果である。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
唯知れずにいてくれるようにと
冀
(
ねが
)
うばかりである。秘密を保つ方法と、また秘密が
訐
(
あば
)
かれた場合の事とは
予
(
あらかじ
)
め考える暇がない。それよりはむしろ考える能力がないのである。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
訐
漢検1級
部首:⾔
10画