見張みはり)” の例文
奴らは見張みはりをしていたのだ。生意気に「宮本だ」と、平常親よりおそれ、また敬っている自分へ、冷たく云い放ったときも、あの眼だ。
(新字新仮名) / 徳永直(著)
祖母はその間にはばかりへゆくふりをして、すっかり家中うちじゅうを見てきた。外に見張みはりが一人いるのが蔵の二階の窓から月の光りで見えた。
怪塔ロケットがしずんだ海面は、あいかわらずわが駆逐艦隊によって、たいへんきびしい見張みはりがつづけられていました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
思ひ出すには閑靜しづかなる所がよきものなり因て見張みはりつけるによりあき長屋ながやいたとくと考へ見よとて同心に遠見とほみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それはなるべくそういうことをしないように警護けいごの僧を付けてある。ところがその警護の僧がおかしい。自分が見張みはりをして居りながらなるべくそれを取らせるようにする。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
『それ、このに。』と武村兵曹たけむらへいそう紀念塔きねんたふかついではしたので、一同いちどうつゞいて車外しやぐわいをどで、日出雄少年ひでをせうねん見張みはりやくわたくしつちる、水兵すいへいいしまろばす、武村兵曹たけむらへいそう無暗むやみさけ
関さんとソロ君がカンテラの青い光で顔を見合わした時、見張みはりの土人が叫んだ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
敬太郎けいたろうは田口の速達便を受取って、すぐ小川町の停留所へ見張みはりに出た冒険の第一節目から始めて、電車が江戸川の終点に着いた後の雨の中の立往生に至るまでの顛末てんまつを包まず打ち明けた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
猟夫かりゅうどを頼んで見張みはりをしたが、何も見えないが、奇妙に夜にるとただ猟夫かりゅうどがつれている、犬ばかりには見えるものか、非常に吠えて廻ったとの事、この家に一人、子守娘が居て、その娘は
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
金持ちのいへでは今年こんねんに限つて桑の葉が足りないのを不思議に思つてそれとなく見張りを付けてりますと見張みはりの者はの有様を見つけましてそつとうちへ知らせましたからそれと云ふので大勢で桑畠を
金銀の衣裳 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
停車場の出口に見張みはりをしている巡査に、どこの宿がよかろうかときいて、古松屋というのに荷をおろす。山清路への案内を求むれば、「善さんとこ聞いて、来い、音さんどうだ」の末、ないという。
雪の武石峠 (新字新仮名) / 別所梅之助(著)
あやしき見張みはり
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)