装上もりあが)” の例文
肩越かたごしに、のへりを、ゆき装上もりあがるやうに、しづくさへしと/\と……とき判然はつきりえたのは、きむらがつた真白まつしろはなである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水にほとばしいきおいに、水槽を装上もりあがって、そこから百条のすだれを乱して、溝を走って、路傍みちばたの草を、さらさらと鳴してく。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しろく、くもしろく、そらしろい。のんどりとして静寂せいじやく田畠たはたには、つち湧出わきでて、装上もりあがるやうなかはづこゑ。かた/\かた/\ころツ、ころツ、くわら/\くわら、くつ/\くつ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
咄嗟とっさに思って、手首に重く、脈にこたえて、筆で染めると、解けた胡粉は、ほんのりと、笠よりもに響き、雪を円く、暖かく、肌理きめ滑らかに装上もりあがる。色の白さが陽炎かげろう
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その紺地こんじに、清く、さらさらと装上もりあがった、一行金字いちぎょうきんじ一行銀書いちぎょうぎんしょの経である。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うろこなみは、ひた/\と装上もりあがつてたかつ。——所謂いはゆるいしげど」のしようである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水の装上もりあがった水盤に映ったのは、撫肩なでがたなびいた浴衣の薄い模様です。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)