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蓐
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しとね
ふりがな文庫
“
蓐
(
しとね
)” の例文
お蔦は
蓐
(
しとね
)
に居直って、押入の戸を右に開ける、と上も下も仏壇で、一ツは当家の。自分でお蔦が守をするのは同居だけに下に在る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
厚き
蓐
(
しとね
)
の積れる雪と真白き上に、
乱畳
(
みだれたた
)
める
幾重
(
いくへ
)
の
衣
(
きぬ
)
の
彩
(
いろどり
)
を争ひつつ、
妖
(
あで
)
なる姿を
意
(
こころ
)
も
介
(
お
)
かず
横
(
よこた
)
はれるを、窓の日の
帷
(
カアテン
)
を
透
(
とほ
)
して
隠々
(
ほのぼの
)
照したる
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
場所は言うまでもなく橋の下、籐椅子は荒筵の
蓐
(
しとね
)
に変って、私はボロ片の中に、豚の児のように転がって居たのです。
新奇談クラブ:07 第七夜 歓楽の夢魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そしてそこに生えてゐる緑の草葉を
蓐
(
しとね
)
にして、匂ひよき花の一束を私に手向けて下さい……。さうすれば、私は……
あさぢ沼
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
お光は
蓐
(
しとね
)
火鉢と気を利かして、茶に菓子に愛相よくもてなしながら、こないだ上った時にはいろいろ御馳走になったお礼や、その後一度伺おう伺おうと思いながら
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
▼ もっと見る
へんに
襟
(
えり
)
もとがうすら寒く、何処からか
蓐
(
しとね
)
の中へすう/\風が入り込むようなので、ふと眼を覚ますと、もう
閨
(
ねや
)
の中がしら/″\と暁に近いほの明るさになっていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
頑児の一念、ここに至りて、食
咽
(
のど
)
を下らず、寝
蓐
(
しとね
)
に安んぜず、ただ一死の
蚤
(
はや
)
からざるを悲しむのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
されど味のわろからぬまま
喰
(
く
)
い
尽
(
つく
)
しけるに、半里ほど歩むとやがて腹痛むこと大方ならず、
涙
(
なみだ
)
を
浮
(
うか
)
べて道ばたの草を
蓐
(
しとね
)
にすれど、路上
坐禅
(
ざぜん
)
を学ぶにもあらず、かえって
跋提河
(
ばだいが
)
の
釈迦
(
しゃか
)
にちかし。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
雪の原雪の
蓐
(
しとね
)
の雪枕
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
とじりりと膝を寄せて、その時、
颯
(
さっ
)
と薄桃色の
瞼
(
まぶた
)
の
霑
(
うる
)
んだ、冷たい顔が、夜の風に
戦
(
そよ
)
ぐばかり、
蓐
(
しとね
)
の
隈
(
くま
)
に
俤
(
おもかげ
)
立つのを、縁から
明取
(
あかりと
)
りの月影に透かした酒井が
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
親子は裁縫の師匠をしているので、つい
先方
(
さきかた
)
弟子の娘たちが帰った後の、
断布片
(
たちぎれ
)
や糸屑がまだ座敷に散らかっているのを手早く片寄せて、ともかくもと
蓐
(
しとね
)
に請ずる。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
要はお久が出て行ってしまうとともかくも蚊帳の中に
這入
(
はい
)
った。広くもあらぬ部屋ではあるし、麻の
帳
(
とばり
)
で仕切られているので、二つの
蓐
(
しとね
)
が殆ど擦れ擦れに敷いてある。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分はやっとひろびろとした野原の空気を胸一杯に吸うことが出来る、———彼はそう思ったばかりでなく、その時
蓐
(
しとね
)
に
仰向
(
あおむ
)
けになって、実際ふかぶかと肺の底まで息を吸った。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
窓の高い天井の低い割には、かなりに明るい六畳の一間で、申しわけのような床の間もあって、申しわけのような掛け物もかかって、お
誂
(
あつら
)
えの
蝋石
(
ろうせき
)
の玉がメリンスの
蓐
(
しとね
)
に飾られてある。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
久しぶりに十分な眠りを
貪
(
むきぼ
)
ったので睡気は残っていないのだけれど、手足を伸び伸びとさせているのがいつまででも好い心持で、ちょっとは
蓐
(
しとね
)
のぬくもりを捨てることが出来ない。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
すると関白殿はおん枕を押し
除
(
の
)
けられ、
蓐
(
しとね
)
の上に端坐遊ばして
仰
(
お
)
っしゃいますのに、そちが申すことも一往聞えているけれども、養子と云うても
伯父
(
おじ
)
甥
(
おい
)
の間で、血がつながっていることだし
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蓐
漢検1級
部首:⾋
13画
“蓐”を含む語句
就蓐
病蓐
蓐中
産蓐
御就蓐
臥蓐
蓐頭
蓐食
藁蓐