トップ
>
荒涼
>
くわうりやう
ふりがな文庫
“
荒涼
(
くわうりやう
)” の例文
店はやはり主人のまはりに
荒涼
(
くわうりやう
)
とした空気を漂はせてゐる。保吉はいつか少しづつ女のゐないことを忘れ出した。……
あばばばば
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夜
(
よる
)
の
色
(
いろ
)
にその
葉
(
は
)
の
緑
(
みどり
)
は
黒
(
くろ
)
ずみ、
可愛
(
かあい
)
らしい
珊瑚珠
(
さんごじゆ
)
のやうな
赤
(
あか
)
い
實
(
み
)
も
眠
(
ねむ
)
たげではあるけれど、
荒涼
(
くわうりやう
)
たる
冬
(
ふゆ
)
に
於
(
お
)
ける
唯
(
ゆゐ
)
一の
彩
(
いろど
)
りが、
自然
(
しぜん
)
の
野
(
の
)
からこの
部屋
(
へや
)
に
移
(
うつ
)
されて
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ゴルキイの小説によく出てくる
露西亞
(
ロシア
)
の
草原
(
ステッペ
)
を
聯想
(
れんさう
)
させるやうな、
荒涼
(
くわうりやう
)
とした原の中に工場と、工場
附屬
(
ふぞく
)
の住宅と、貧しげな商家農家の百軒あまりがまばらに立ち並び
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
……
山
(
やま
)
も
地平線上
(
ちへいせんじやう
)
に
遠霞
(
とほがす
)
んで、
荒涼
(
くわうりやう
)
たる
光景
(
くわうけい
)
が
恰
(
あたか
)
も
欄干
(
らんかん
)
で
絞
(
しぼ
)
つて、
網
(
あみ
)
を
十
(
と
)
をばかり、ぱつと
捌
(
さば
)
いて
大
(
おほ
)
きく
投
(
な
)
げて、
末
(
すゑ
)
を
廣
(
ひろ
)
げたのに
譬
(
たとへ
)
たのだらう。と、
狼狽
(
うろた
)
へて
居
(
ゐ
)
たのである。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼
(
か
)
の『
巌頭
(
がんとう
)
の感』は失恋の血涙の紀念です、——彼が言ふには、我輩は
彼女
(
かのぢよ
)
を思ひ浮かべる時、此の
木枯
(
こがらし
)
吹きすさぶが如き
荒涼
(
くわうりやう
)
の世界も、忽ち
春霞
(
しゆんか
)
藹々
(
あい/\
)
たる和楽の天地に化する
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
荒涼
(
くわうりやう
)
五
間
(
けん
)
、板三枚
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
梅子さん、秋の
霜
(
しも
)
、枯野の風の如き劇烈なる男児の
荒涼
(
くわうりやう
)
が、
春霞
(
はるがすみ
)
の如き婦人の聖愛に包まれて始めて和楽を得、勇気を得、進路を
過
(
あやま
)
たざることを得る秘密をば、貴嬢は必ず御了解なさるでせう
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
涼
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
“荒涼”で始まる語句
荒涼寂寞
荒涼落莫