茅屋くさや)” の例文
わが青年わかものの名を田宮峰二郎たみやみねじろうと呼び、かれが住む茅屋くさやは丘の半腹にたちてうるわしき庭これを囲み細き流れの北のかたより走り来て庭を貫きたり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
理髪所とこやの隣に万屋よろずやあり、万屋の隣に農家あり、農家の前にはむしろ敷きてわらべねこと仲よく遊べる、茅屋くさやの軒先には羽虫はむしの群れ輪をなして飛ぶが夕日に映りたる
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
庭を貫く流れはかどの前を通ずるみちを横ぎりて直ちに林に入り、林をずれば土地にわかにくぼみて一軒の茅屋くさやその屋根のみを現わし水車みずぐるまめぐれり、このあたりには水車場すいしゃば多し
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
軌道レール直角ちよくかく細長ほそなが茅葺くさぶき農家のうかが一けんあるうらやまはたけつゞいてるらしい。いへまへ廣庭ひろにはむぎなどをところだらう、廣庭ひろにはきあたりに物置ものおきらしい屋根やねひく茅屋くさやがある。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此處こゝ谷間たにまる一小村せうそん急斜面きふしやめん茅屋くさやだんつくつてむらがつてるらしい、くるまないからくはわからないが漁村ぎよそんせうなるもの蜜柑みかんやま産物さんぶつらしい。人車じんしや軌道きだうむら上端じやうたんよこぎつてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)