艦尾かんび)” の例文
私は、独りで、上甲板を、艦尾かんびから艦首へ歩きながら、奈良島の生死を気づかつた副長の狼狽した容子を、なつかしく思ひ返しました。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『では、貴君きくんは、しやおい日出雄少年ひでをせうねん安否あんぴを——。』とひかけて、いそ艦尾かんびなる濱島武文はまじまたけぶみ春枝夫人はるえふじんとにひとみうつすと、彼方かなた二人ふたりたちまわたくし姿すがた見付みつけた。
と、ひ、あしところらぬ有樣ありさま濱島武文はまじまたけぶみ艦尾かんび巨砲きよほうもたれて悠々いう/\美髯びぜんひねりつゝ。
ときは、わたくしは、屹度きつと軍艦ぐんかん」の艦尾かんびかた、八インチ速射砲そくしやほうよこたはるへんもしくば水面すいめんたか舷門げんもんのほとりにつて——うや/\しく——右手めてたか兜形ヘルメツトがた帽子ぼうしげて、いま一度いちど