自筆じひつ)” の例文
それは四郎が殺された日、大辻が始めに屍体の側で発見し、二度目に見たとき裂かれていた四郎の自筆じひつの日記に相違そういなかった。一郎はそれをむさぼるように読みくだした。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
余二十年前丸山氏の家に遊笻いうきようをとゞめし時、祖父が宝暦の頃の著述ちよじゆつ也とて、越後名寄なよせといふしよを見せられしに、三百巻自筆じひつ写本しやほん也。名寄とはあれど越後の風土記ふどきなり。
それから半年はんとしばかりして、叔父をぢ自筆じひつで、うちはとう/\れたから安心あんしんしろと手紙てがみたが、幾何いくられたともなんともいてないので、かへしてあはせると、二週間しうかんほどつての返事へんじ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小六ころくにしてゐた佐伯さへきからは、豫期よきとほり二三にちして返事へんじがあつたが、それはきはめて簡單かんたんなもので、端書はがきでもようりるところを、鄭重ていちよう封筒ふうとうれて三せん切手きつてつた、叔母をば自筆じひつぎなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)