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胸算用
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むなざんよう
ふりがな文庫
“
胸算用
(
むなざんよう
)” の例文
一個八十銭の西瓜で十銭の切身何個と
胸算用
(
むなざんよう
)
して、柳吉がハラハラすると、種吉は「切身で
釣
(
つ
)
って、丸口で儲けるんや。損して得とれや」
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
官兵衛、お
汝
(
こと
)
の
胸算用
(
むなざんよう
)
では、いったい幾日をもって、どれほどな人員をもって成し得ると考えておるか。ひとつ
成算
(
せいさん
)
を聞かしてもらいたいが
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
後
(
あと
)
で
胸算用
(
むなざんよう
)
でもする
案排
(
あんばい
)
しきで、指を折って見たり、ただ
考
(
かん
)
がえたりしていたが、やがてまた
綺麗
(
きれい
)
な指で例の文銭を新らしく並べ
更
(
か
)
えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして売地や貸家の
札
(
ふだ
)
を見て
過
(
すぎ
)
る
度々
(
たびたび
)
、
何
(
なん
)
ともつかずその
胸算用
(
むなざんよう
)
をしながら自分も
懐手
(
ふところで
)
で
大儲
(
おおもうけ
)
がして見たいと思う。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
誰も信用出来るやうな顔でゐて、ひそひそ語りあひながら、その実、胸の中には自分一人で
胸算用
(
むなざんよう
)
をしてゐる……。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
この年を取った流浪人はせっかく
狡猾
(
こうかつ
)
に
胸算用
(
むなざんよう
)
を立てても、まだ心の
底
(
そこ
)
に残っている若い血がわき立って、いっさいを引っくり返してしまうのだ……さてどこへ行こうか
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
みんなが、大きいのをひとつたのむと、ちょっと
胸算用
(
むなざんよう
)
するようなまじめな顔つきをしていて、ほがらかに大きい屁をひる。小さいのをたのめば、小さいのを連発する。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
おのずから人の心を
惹
(
ひ
)
くようになっているのかも知れません——予期せざる人の出入りを調べてみても、一人、二人、三人——ちょっと
胸算用
(
むなざんよう
)
に余るところがありますね
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
逸作は、息子の手紙を
畳
(
たた
)
んだりほぐしたりしながら比較的実際的な眼付きを
足下
(
あしもと
)
の
一処
(
ひとところ
)
へ寄せて居た。逸作は息子に次に送る
可
(
か
)
なりの費用の
胸算用
(
むなざんよう
)
をして居るのであろう。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこへ行ったら、町の
楽隊
(
がくたい
)
にやとってもらえようという
胸算用
(
むなざんよう
)
でした。
ブレーメンの町楽隊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そして
売地
(
うりち
)
や
貸家
(
かしや
)
の
札
(
ふだ
)
を見て
過
(
すぎ
)
る
度々
(
たび/\
)
、
何
(
なん
)
ともつかず
其
(
そ
)
の
胸算用
(
むなざんよう
)
をしながら自分も
懐手
(
ふところで
)
で
大儲
(
おほまうけ
)
がして見たいと思ふ。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
余は余の立っている高い山の鼻と、遠くの先にある白いものとを
見較
(
みくら
)
べて、その中間に
横
(
よこた
)
わる距離を
胸算用
(
むなざんよう
)
で割り出して見て、軍人の根気の好いのにことごとく敬服した。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから男の雇人と、庭師といったようなもの、それに準じての家財雑具——それをいいかげんに七兵衛が
胸算用
(
むなざんよう
)
をしては、次から次へと並べてみると、都合三千両ほどになりました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「おるやも知れぬ。何せい、気のよいお
公達
(
きんだち
)
の
胸算用
(
むなざんよう
)
では」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小人数で料理屋に上つて芸者を呼ぶよりは、宴会が結句
割徳
(
わりどく
)
の安上りと
胸算用
(
むなざんよう
)
して出席する
下賤
(
げす
)
もあり。
頻
(
しきり
)
に名刺の交換を迫つて他日人の名を利用して事をなさんとする
曲者
(
くせもの
)
もあり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
といって、駒井は
胸算用
(
むなざんよう
)
をしてみますと、寛政五年といえば、今を去ること六十四年の昔になる、その当時は、このお爺さんも二十二歳といった若盛りだが、それにしても古い話だ——
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
健三は姉のいう利子の高から
胸算用
(
むなざんよう
)
で
元金
(
もときん
)
を勘定して見た。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中島は部屋代の十二円に、電話の使用代として、その
度
(
たび
)
の通話料の
外
(
ほか
)
に五円の礼金を出す約束なので、それを合せて十七円。女の着物の仕立代やら月末の諸払いを
胸算用
(
むなざんよう
)
して五十円ばかり引出した。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
島原の
廓
(
くるわ
)
、一貫町を出てから七兵衛は
胸算用
(
むなざんよう
)
をはじめました。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
胸
常用漢字
小6
部首:⾁
10画
算
常用漢字
小2
部首:⽵
14画
用
常用漢字
小2
部首:⽤
5画
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胸算