絶体絶命ぜったいぜつめい)” の例文
旧字:絶體絶命
というのが、にとるようにこえるので、ぼうさんはもういよいよ絶体絶命ぜったいぜつめいとかくごをきめて、一心いっしんにおきょうとなえながら、はしれるだけはしって行きました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いよいよ絶体絶命ぜったいぜつめいです。これももとはといえば重吉じゅうきちのいたずらから出たことです。思えば重吉がうらめしくなりました。で、とうとう六兵衛はおろおろ声で
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
保吉は絶体絶命ぜったいぜつめいになった。この場合唯一ゆいいつ血路けつろになるものは生徒の質問に応ずることだった。それでもまだ時間が余れば、早じまいをせんしてしまうことだった。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かれは、絶体絶命ぜったいぜつめいかんじた。数秒すうびょうのちに、自分じぶんからだが、いくしゃくたかいところから地上ちじょう落下らっかして粉砕ふんさいするのだと意識いしきするや、不思議ふしぎにも、気力きりょくがった。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
寸秒すんびょう危機きき目前もくぜん、おもわず、ひたいわきの下から、つめたい脂汗あぶらあせをしぼって、ハッと、ときめきの息を一ついたが——その絶体絶命ぜったいぜつめいのとっさ、ふと、指さきにれたのは、さっき
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ああ絶体絶命ぜったいぜつめい……そうだ。何時いつ貴方あなた露西亜ロシヤには哲学てつがくい、しかしたれも、かれも、丁斑魚めだかでさえも哲学てつがくをすると有仰おっしゃったっけ。しかし丁斑魚めだか哲学てつがくをすればって、だれにもがいいのでしょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もう絶体絶命ぜったいぜつめいです。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
絶体絶命ぜったいぜつめいとなった呂宋兵衛るそんべえ。そのとき、とんとみとまって腰の大刀を横なぎに抜きはらったかとおもうと、剣は、火をふいて夜光のたまを散らすかと思われるような閃光せんこうを投げつけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
半助は絶体絶命ぜったいぜつめいとなった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)