紅玉ルビー)” の例文
そして金と銀とで全体ができて、いろ/\の宝石、ダイヤモンド、紅玉ルビー碧玉サフアイヤ、エメラルドなどでかざつて、ぴか/\光つてをりました。
夢の国 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
その玉は所謂紅玉ルビー色で、硝子で薔薇ローズカットが施こされていて、直径五分ばかりのものだ。紅玉色の硝子は、濃い黒い束ね髪の上にあった。
毛の指環 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
この三粒の紅玉ルビーを一目見ると、直ぐに、これは世にもまれな上等飛び切りの紅玉ルビーで、当り前の者が持っているものではないと思いましたが
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
すばらしい光輝をはなつ紅玉ルビーが十八個、緑柱玉エメラルドが三百十個、これはみなきわめて美しい。青玉サファイアが二十一個と、蛋白石オパールが一個。
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
ゆけ、ゆけ、紅玉ルビー軍港は近いぞ。白鳥の羽のような白い美しい帆を張って、血染ちぞめの旗をひるがえして、六十人の決死隊は、勇みに勇んだのである。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
つまり、親愛な黄色——アレキサンドライトの方が吉で、紅玉ルビーの血は勿論凶なのでございます。そして、この二つを諾否の表示しるしにして、どっちかを
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
糸七のおなじ話でも、紅玉ルビー緑宝玉エメラルドだと取次ばえがするが、何分焼芋はあやまる。安っぽいばかりか、稚気が過ぎよう。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
両肱りょうひじは骨立ち、両膝りょうひざは皮膜があらわで、傷口からは肉が見えており、銀の荊棘いばらの冠をかぶり、金のくぎでつけられ、額には紅玉ルビーの血がしたたり、目には金剛石ダイヤの涙が宿っている。
ジキタリスの紫の花弁はなびらは王冠につけた星のように曠野の中で輝いているし、紅玉ルビー色をした石竹のはな恰度ちょうど陸上の珊瑚のように緑草の浪にゆられながら陽に向かって微笑を投げている。
死の復讐 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この針のさきへ紅玉ルビーほど……あなたがまだ愛して下さるなら、わたしは死んではならないわ。……ああ、悲しい恋……。あなたの美しい、紫色の輝いた血をわたしは飲まなければならない。
うっすらともやのなびいた森の梢に、紅玉ルビーのように光りのある朝紅モルゲンロート、又は夕ぐれごとに、もう、闇に襲われた谷の空に、薔薇の花のように輝くアルペン・グリューンと、山川の景観にともなう楽しさは
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
かんむり紅玉ルビーめたようだ事」と藤尾が云う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ピンか、紅玉ルビーか、ただひとつ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
エメラルドや紅玉ルビーのやうな
その時、由子は、紅玉ルビー色の、硝子の、薔薇ローズカットの施こされたかんざしをお千代ちゃんのたっぷりした束ね髪の横に見たのであった。
毛の指環 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
と叫びながら紫の髪毛かみのけをふり乱し、紅玉ルビーを雨のようにふり散らして、物をも云わず窓から逃げ出そうとしましたが、最早もはや遅う御座いました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
それで、ふと黄から紅に——という一言を、アレキサンドライトと紅玉ルビーの関係に、寓喩アレゴリーとして使ってみた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
かて温石おんじゃくと凍餓共に救う、万全の策だったのである、けれども、いやしくも文学者たるべきものの、紅玉ルビー緑宝玉エメラルド、宝玉を秘め置くべき胸から、黄色に焦げたにおいを放って
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紅玉ルビー色をした酒を注げ! バタニア胡椒を酒へ入れろ! さぞ舌ざわりがよいだろう。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
両端に紅宝玉をつけた紅玉ルビー首環くびわが広げられてるかのようだった。
この様子で見るとこの紅玉ルビーは、紅矢の妹共が忘れて行ったものでも何でもなく、全く悪魔が何かのために置いて行ったものに違いないと思われました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
そして、その上に、一つには紅玉ルビー一つにはアレキサンドライトが、それぞれ白金プラチナの台の上で、百二、三十カラットもあろうと思われる、マーキーズ形の凸刻面を輝かしていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
青玉サファイヤでも、紅玉ルビーでも、黄玉トパーズでも本物の、しかも上等品でなくてはこの硬度と光りはない筈です。これはみんな私が、彼女の臓腑の中から探り取ったものです。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
宣賓シュウチョウのには、紅玉ルビー光をはなつ峰のさまが書かれてある。それが先日、私がたしかめた紅蓮峰リム・ボー・チェの山巓でした。あの二つの草漉紙は、それぞれ『天母生上の雲湖ハーモ・サムバ・チョウ』の九十九江源地ナブナテイヨ・ラハードから流れてきたのです。
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
内部なかからてのひらほどの青白い臓腑がダラリと垂れ下っているその表面に血にまみれたダイヤ、紅玉ルビー青玉サファイヤ黄玉トパーズの数々がキラキラと光りながらねばり付いておりました。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
青い革のズボン吊り。本麻、赤縞ワイシャツに猫目石のカフスボタン。三つボタンは十八金。襟飾ネクタイは最近流行し初めた緑色の派手なペルシャ模様。留針タイピンは物々しい金台の紅玉ルビー。腕輪はニッケルの撥条ばね
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)