米粒こめつぶ)” の例文
勘次かんじいへもどると飯臺はんだいそこにくつゝいてめしなかから米粒こめつぶばかりひろしてそれを煙草たばこ吸殼すひがら煉合ねりあはせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ほそいけむりこそててゐるがのとしより は正直しやうじきで、それになにかをけつして無駄むだにしません。それで、パンくづ米粒こめつぶがよくすゞめらへのおあいそにもなつたのでした。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
高い棕櫚しゅろの木のかげになったクリイム色の犬小屋が、——そんなことは当然に違いありません。しかしその犬小屋の前には米粒こめつぶほどの小ささに、白い犬が一匹坐っているのです。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
餅につきたる米粒こめつぶの多きものその年は豊作なりとして、早中晩の種類を択び定むるなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二人はこのごろ東京の新聞ではやる宝探たからさがしや玄米一升の米粒こめつぶ調べの話などをした。万朝報まんちょうほうの宝を小石川の久世山に予科の学生が掘りに行ってさがし当てたことをおもしろく話した。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
だれ雄鷄おんどりのために米粒こめつぶひとつまいてれるものもりませんでした。でも、この雄鷄おんどりわかかつたものですから、どうかしてんでたいとおもひまして、えだのぼつてつてははねをひろげました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)