くぼみ)” の例文
くぬぎからならと眼をつけ、がさ/\と吾がみ分くる足下あしもとの落葉にも気をつけ、木を掘ったあとのくぼみを注視し、時々立止って耳を澄ました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あまりみたれば、一ツおりてのぼる坂のくぼみつくばいし、手のあきたるまま何ならむ指もて土にかきはじめぬ。さという字も出来たり。くという字も書きたり。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はやしはづれから田圃たんぼへおりるところわづかに五六けんであるが、勾配こうばいけはしいさかでそれがあめのあるたびにそこらのみづあつめて田圃たんぼおとくちつてるので自然しぜんつちゑぐられてふかくぼみかたちづくられてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
用なきくぼみをばめ、いらぬすきまをば塞ぎ、上に草をけば、家すでに成れり。我牧者の家は丘の上にありて兩層あり。せばき戸口なるコリントスがたの柱は、當初墳墓を築きしときの面影なるべし。
あまりみたれば、一ツおりてのぼる坂のくぼみつくばひし、手のあきたるままなにならむ指もて土にかきはじめぬ。さといふ字も出来たり。くといふ字も書きたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
雨が続いて泥濘ぬかるみになったのを見澄して、滝太が手ですくい、丸太で掘って、地面をくぼめておき、木戸に立って車の来るのを待っていると、くぼみ雨溜あめだまりで探りがらず、来るほどの車は皆輪が喰い込んで
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)