突伏つツぷ)” の例文
北八きたはちは、にやり/\、中流ちうりういたころほ一錢蒸汽いつせんじようき餘波よはきたる、ぴツたり突伏つツぷしてしまふ。あぶねえといふは船頭せんどうこゑ、ヒヤアときもひやす。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お栄が眼を覚まして跳起はねおきて見ると、姉は床の上に突伏つツぷして、身体からだを震はせて居た。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ときあたかも、きやくくわいしたところ入口いりくち突伏つツぷして下男げなん取次とりつぎを、きやく頭越あたまごしに、はな仰向あふむけて、フンと
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しきりもない小屋内こやうちが、らぬだに、おびえるところ一齊いちどき突伏つツぷさわぎ。やゝたしかなのが、それでもわづか見留みとめると、黒髮くろかみみだした、わかをんなの、しろ姿すがたで。……るまにかげになつて、フツとえる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)