真青まつさを)” の例文
旧字:眞青
だから、日本へ来て緑の濃い真青まつさをな水の色を見るのがれほど愉快だか知れないと云ふのであつた。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
が夜中、厠に立てば、裏の山には月が澄んで、はたけの葱さへ一つ一つに真青まつさをだ。虫ももう鳴かぬが、それだけ凄い。首を竦めて、しはぶく時の寒さと云へばまた格別だ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
此日このひ本線ほんせんがつして仙台せんだいをすぐるころから、まちはもとより、すゑの一軒家けんやふもと孤屋ひとつやのき背戸せどに、かき今年ことしたけ真青まつさをなのに、五しき短冊たんざく、七いろいとむすんでけたのを沁々しみ/″\ゆかしく
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
芋虫は門の日のさない所にしやがんで一日中下駄げたの出し入れをしてゐるので、黴菌ばいきんほこりを吸ひ込んで肺病になつて竹のやうに真青まつさをな顔をして足は脚気といふ病気のためにふくれ上つてゐるので
こほろぎの死 (新字旧仮名) / 村山籌子(著)
さつきから空の大半たいはん真青まつさをに晴れて来て、絶えず風の吹きかよふにもかゝはらず、ぢり/\人のはだ焼附やきつくやうな湿気しつけのある秋の日は、目の前なる大川おほかはの水一面にまぶしく照り輝くので
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
光は薔薇いろ、湾内わんない真青まつさを
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)