目黒めぐろ)” の例文
東都の西郊目黒めぐろ夕日ゆうひおかというがあり、大久保おおくぼ西向天神にしむきてんじんというがある。ともに夕日の美しきを見るがために人の知る所となった。
第一は目黒めぐろ応法寺おうほうじ。酒買い観世音菩薩木像一体かんぜおんぼさつもくぞういったい。第二は品川しながわ琥珀寺こはくじ。これは吉祥天女像きっしょうてんにょぞう、第三は葛飾かつしか輪廻寺りんねじの——
どことて空襲の来ぬ処があるはずもなし、やっと目黒めぐろ辺で地方へ疎開した人の家を探して移ることにしましたが、さて荷物運搬の便がありません。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
さて、映画館の事件があってから一週間ほどたって、目黒めぐろ区の片桐かたぎりさんのおうちに、おそろしいことがおこりました。
仮面の恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
小鳥のいるのは雑司ヶ谷ばかりじゃございません、目黒めぐろにもきりにも千住せんじゅにも、この秋はことの外獲物が多いという評判でございます。それがどうしたわけで——
姓は小川おがわ名は清子きよこと呼ばれて、目黒めぐろのあたりにおおぜいの孤児女とみ、一大家族の母として路傍に遺棄せらるる幾多の霊魂を拾いてははぐくみ育つるを楽しみとしつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
れい公園こうゑんのぼさか尻垂坂しりたれざかどうしたこと? 母衣町ほろまちは、十二階邊じふにかいへん意味いみかよひしがいましからざるなり。——六斗林ろくとばやしたけのこ名物めいぶつ目黒めぐろ秋刀魚さんまにあらず、實際じつさいたけのこなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
西郷従道さいごうつぐみち目黒めぐろの大邸宅、大山巌おおやまいわおの青山穏田おんでんの大邸宅、海江田信義かいえだのぶよし渋谷しぶや桜丘台の大邸宅、芝三田の松方正義まつかたまさよしの山林のような大邸宅のごときは、じつに広大なものであったが
明和九年二月二十九日のひるごろ目黒めぐろ行人坂ぎょうにんざか大円寺だいえんじから起こった火事はおりからの南西風に乗じてしば桜田さくらだから今のまるうちを焼いて神田かんだ下谷したや浅草あさくさと焼けつづけ、とうとう千住せんじゅまでも焼け抜けて
函館の大火について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
外に出て、門灯の光で、門の柱を見あげますと、そこに出ている表札には「目黒めぐろ上目黒かみめぐろ六丁目一一〇〇、今井いまいきよ」
大金塊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
本所羅漢寺ほんじょらかんじ螺堂さざえどうも既に頽廃しなかなる五百の羅漢のみ幸に移されてその大半を今や郊外目黒めぐろの一寺院に見る。
疎開先の目黒めぐろで書入れのある本や、由緒のある本のことを思って残念がりましたが、目黒の家の上も飛行機が毎日通るのですから、ここまで持って来ても、同じ運命になるだろうとあきらめました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
博士を護って、一行は目黒めぐろ行人坂の博士邸へ入った。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
目黒めぐろは物ふり山坂やまさかおもしろけれど果てしなくて水遠し、嵯峨さがに似てさみしからぬ風情ふぜいなり。