盆暮ぼんくれ)” の例文
れにもかゝはらず、自分の母親のおとよはあまりくは思つてゐない様子やうすで、盆暮ぼんくれ挨拶あいさつもほんの義理一ぺんらしい事をかまはず素振そぶりあらはしてゐた事さへあつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
彼が結婚後家計膨脹ぼうちょうという名義のもとに、毎月まいげつの不足を、京都にいる父から填補てんぽしてもらう事になった一面には、盆暮ぼんくれの賞与で、その何分なんぶんかを返済するという条件があった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
盆暮ぼんくれの附け届を誰よりも余計貰つたし、カフェエなどでも案外持てるので、僅かなお金で長く遊んで来ることを覚えてしまひ、そんなところからのらくらの癖がついたのだつた。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
生徒入学の時には束脩そくしゅうを納めて、教授する人を先生とあおたてまつり、入学の後も盆暮ぼんくれ両度ぐらいに生徒銘々めいめいの分に応じて金子きんすなり品物なり熨斗のしを附けて先生に進上する習わしでありしが、私共の考えに
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
オヽおまへ留守るす差配さはいどのがえられてといひさしてしばたゝくまぶたつゆ白岡鬼平しらをかきへいといふ有名いうめい無慈悲むじひもの惡鬼あくき羅刹らせつよと蔭口かげぐちするは澁團扇しぶうちはえんはなれぬ店子共たなこども得手勝手えてがつて家賃やちん奇麗きれいはらひて盆暮ぼんくれ砂糖袋さたうぶくろあましるさへはしかばぐる目尻めじり諸共もろとも眉毛まゆげによぶ地藏顏ぢざうがほにもゆべけれど
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それにもかかわらず、自分の母親のお豊はあまりくは思っていない様子で、盆暮ぼんくれ挨拶あいさつもほんの義理一遍いっぺんらしい事を構わず素振そぶりあらわしていた事さえあった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
盆暮ぼんくれの附け届を誰よりも余計貰つたし、カフェエなどでも案外持てるので、僅かなお金で長く遊んで来ることを覚えてしまひ、そんなところからのらくらの癖がついたのだつた。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
盆暮ぼんくれの附け届を誰よりも余計貰ったし、カフェエなどでも案外持てるので、僅かなお金で長く遊んで来ることを覚えてしまい、そんなところからのらくらの癖がついたのだった。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)