白銀はくぎん)” の例文
は、強情がうじやう不敵ふてきやつ。さて、入替いれかはつて按摩あんまがシツペイのばんると、つてぼんはらひにありつきました、と白銀はくぎんまい頂戴ちやうだいことめてかゝつて
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「碑ができるために、黄門様から白米やら白銀はくぎんやら、何かとご寄進もあるんだろうから、たまにはおれたちにも、供養をしてもよかろうぜって」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十一月六日に神田紺屋町こんやちょう鉄物問屋かなものどいや山内忠兵衛妹五百いおが来り嫁した。表向おもてむきは弘前藩目附役百石比良野助太郎妹かざしとして届けられた。十二月十日に幕府から白銀はくぎん五枚を賜わった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
男嶽をのかみ女嶽めのかみとの間になだれ落ちてゐる大きな曲線たわが、又次第に両方へそゝつて行つてゐる此二つの峰のあひだの広い空際そらぎは。薄れかゝつた茜の雲が、急に輝き出して、白銀はくぎんの炎をあげて来る。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其方儀親孝行の段奇特きどくに思し召れ御褒美として白銀はくぎんまいくだおかる有難く存ずべし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
白銀はくぎんりんを振る様な鋭いひぐらしの音が響いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
向って、外套の黒いすそと、青いつまで腰を掛けた、むら尾花おばなつらなって輝く穂は、キラキラと白銀はくぎんの波である。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其方儀平生へいぜい養母やうぼに孝行を盡し其上に先年實父じつふ富右衞門御所刑しおきに相成候せつ自分身代みがはりの儀願ひいで候段是又實父へ孝心の至りに思召おぼしめされ候之に依て御褒美はうびとして白銀はくぎん三枚取せつかはす有難ありがたく存ず可し
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)