トップ
>
疲
>
くた
ふりがな文庫
“
疲
(
くた
)” の例文
あまり立てつゞけに挨拶したので、
疲
(
くた
)
びれ、いくらか器械的にだが形だけは実直に頭を下げた直造は、稍かすんだ眼で今迎へたばかりの客を見た。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
坐
(
すは
)
り
疲
(
くた
)
びれたと見えて、枡の
仕切
(
しきり
)
に
腰
(
こし
)
を掛けて、
場内
(
じようない
)
を
見廻
(
みまは
)
し始めた。其時三四郎は
明
(
あき
)
らかに野々宮さんの広い
額
(
ひたい
)
と大きな
眼
(
め
)
を認める事が
出来
(
でき
)
た。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
フランソアズは、そのままわが家へ帰ったが、こんなに
疲
(
くた
)
びれて、こんなにがっかりしたことはなかった。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
疲
(
くた
)
びれたら休む、腹が空いたら食う、まったくの行き当りバッタリでなければ浮浪の法悦は味わえない。
浮浪漫語
(新字新仮名)
/
辻潤
(著)
「早松がかう出るんでは、今年や松茸あかんやろで。」と、助役は大きな欠伸を一つして、
疲
(
くた
)
びれた腦へ、新らしい早松の香氣を、鼻の穴から
強
(
したゝ
)
かに吸ひ込んだ。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
勝手
(
かつて
)
な
氣焔
(
きえん
)
もやゝ
吐
(
は
)
き
疲
(
くた
)
ぶれた
頃
(
ころ
)
で、
蓋
(
けだ
)
し
話頭
(
わとう
)
を
轉
(
てん
)
じて
少
(
すこ
)
し
舌
(
した
)
の
爛
(
たゞ
)
れを
癒
(
いや
)
さうといふ
積
(
つも
)
りらしい。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
モーアの建築が馬に曳かれて来る、すぐあとから中世紀の騎士が、楯をかざして乗って出る、衣裳や馬はさぞ
疲
(
くた
)
びれたろうと感心はしたが、行列はちっとも面白くはなかった。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
「
疲
(
くた
)
びれたから、これくらいにしておいてください」
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
騒ぎ
疲
(
くた
)
ぶれて
衆人
(
みんな
)
散々
(
ちりぢり
)
に我家へと帰り去り、僕は一人桂の
宅
(
うち
)
に立寄った。黙って二階へ上がってみると、正作は「テーブル」に向かい
椅子
(
いす
)
に腰をかけて、一心になって何か読んでいる。
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
やがて二人とも
疲
(
くた
)
びれ、静かになり、幾はそのまゝ板の間わきの土間へぺつたり坐りこんでしまふと、今はたゞ突張つただけの両腕の間に顔をすり落して、低い子供のやうな啜り泣きを始めた。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
しまいに
疲
(
くた
)
びれてしまった。
徹宵
(
よっぴて
)
そうしているわけにも行かなかった。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
先生の
気焔
(
きえん
)
は
益々
(
ますます
)
昂
(
たか
)
まって、例の
昔日譚
(
むかしばなし
)
が出て、今の侯伯子男を
片端
(
かたっぱし
)
から
罵倒
(
ばとう
)
し初めたが、村長は折を見て辞し去った。校長は先生が
喋舌
(
しゃべ
)
り
疲
(
くた
)
ぶれ
酔
(
え
)
い倒れるまで辛棒して
気燄
(
きえん
)
の的となっていた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
疲
常用漢字
中学
部首:⽧
10画
“疲”を含む語句
疲労
疲勞
草疲
疲憊
旅疲
疲癃
氣疲
疲弊
疲労困憊
疲瘠
疲弊困憊
疲切
疲果
御疲
身疲
疲曳
疲細
疲顇
稍疲
羸疲
...