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疎遠
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そえん
ふりがな文庫
“
疎遠
(
そえん
)” の例文
「
叔父
(
しゆくふ
)
、叔父。ご無事ですか。さきにお別れしたきり
小姪
(
しょうてつ
)
の
疎遠
(
そえん
)
、その罪まことに軽くありません。ただ今、お目にかかってお詫び申すつもりです」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし嫂がこの方面に向って代助に肉薄すればする程、代助は漸々家族のものと
疎遠
(
そえん
)
にならなければならぬと云う恐れが、代助の頭の
何処
(
どこ
)
かに潜んでいた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新五郎さんは
耶蘇
(
やそ
)
信者
(
しんじゃ
)
で、まことに善良な人であるが、至って口の重い人で、
疎遠
(
そえん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
にややしばし時間を
移
(
うつ
)
した。それから新五郎さんは重い口を開いて
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
土地の人とはまるまる
疎遠
(
そえん
)
でもなかった。
若狭
(
わかさ
)
・越前などでは河原に
風呂敷
(
ふろしき
)
油紙の小屋を
掛
(
か
)
けてしばらく住み、
断
(
ことわ
)
りをいってその辺の竹や
藤葛
(
ふじかずら
)
を
伐
(
き
)
ってわずかの工作をした。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
半眼にみひらいたこのものは、人をみているのか、人の背後の
漠々
(
ばくばく
)
たる空間をみているのか不分明である。人間を無視したような腹だたしいまでの沈黙が私を
疎遠
(
そえん
)
にさせた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
▼ もっと見る
それはあまりに
疎遠
(
そえん
)
な感じでかつてのあなたさまらしくないほど、お便りもなくなっていることからわたくしにはもはやお逢いできないように思われてならないのでございます。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
友人たちはこの結婚に
嫉妬
(
しっと
)
と
羨望
(
せんぼう
)
を感じ、五郎さんとのつきあいも
疎遠
(
そえん
)
になっていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その子の
素行
(
そこう
)
を疑ったり、
或
(
あるい
)
はそれが原因で
疎遠
(
そえん
)
になったりするものですが、私の母は、私が東京へ行ってから後も、私を信じ、私の心持を理解し、私の
為
(
た
)
めを思ってくれました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
保吉は
巻煙草
(
まきたばこ
)
に火をつけながら、木蘭の個性を祝福した。そこへ石を落したように、
鶺鴒
(
せきれい
)
が一羽舞い
下
(
さが
)
って来た。鶺鴒も彼には
疎遠
(
そえん
)
ではない。あの小さい
尻尾
(
しっぽ
)
を振るのは彼を案内する信号である。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
疎遠
(
そえん
)
になりがちな兄弟などよりも、はるかに骨肉的な情愛をもち合っている仲だったが、生れながらの性格だけは一つのものに
縒
(
よ
)
りあうことはできない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうち段々手紙の遣り取りが
疎遠
(
そえん
)
になって、月に二遍が、一遍になり、一遍が又二月、三月に
跨
(
また
)
がる様に間を置いて来ると、今度は手紙を書かない方が、却って不安になって、何の意味もないのに
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
捨次郎はその日、とりわけ機嫌よく、そして腰ひくく、自身で接待したり、日頃の
疎遠
(
そえん
)
など詫びあうのである。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
全くの
疎遠
(
そえん
)
で今日まで打ち過ぎたのである。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところへ、荊州の
幕賓
(
ばくひん
)
、
伊籍
(
いせき
)
がたずねてきた。宋忠を放った後で、玄徳は、孔明そのほかを集めて評議中であったが、ほかならぬ人なのでその席へ招じ、日頃の
疎遠
(
そえん
)
を謝した。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
立身はいつか友情を
疎遠
(
そえん
)
にする。近頃はめったにこうして
寛
(
くつろ
)
ぎあう日もない二人だった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『若い
手輩
(
てあい
)
の——例えば
不破
(
ふわ
)
数右衛門、武林唯七などの
躍起組
(
やっきぐみ
)
が——近頃、大石に対して
疎遠
(
そえん
)
になりだしたのは、あの普請場を見てからだ、
他
(
ほか
)
にも、大石の肚を、疑っている者が多い』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
劉表は郭外三十里まで出迎え、互いに
疎遠
(
そえん
)
の情をのべてから
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“疎遠”の意味
《名詞》
疎遠(そえん :「疏遠」の「同音の漢字による書きかえ」)
関係が疎く、遠いこと。
往来や音信がほとんど無いこと。
(出典:Wiktionary)
疎
常用漢字
中学
部首:⽦
12画
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
“疎”で始まる語句
疎
疎林
疎々
疎開
疎忽
疎髯
疎漏
疎隔
疎懶
疎外