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畳半
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じょうはん
「
正吉のいる、四
畳半で、
二人が
勉強するにはすこし
暗すぎるから、
新しく
窓をつけてやりたい。」と、
母に
話しているのを
聞きました。
おこのが
昼といわず夜といわず、ひそかに
睨んだとどのつまりは、
独り四
畳半に
立籠もって、おせんの
型にうき
身をやつす、
良人の
胸に
巻きつけた
帯が、
春信えがくところの
祇園守の
定紋を、
鶯茶に
染め
抜いた三
尺の
暖簾から、ちらりと
見える四
畳半。
母の
方へは
行かずに、四
畳半のおのが
居間へ
這入ったおせんは、
直ぐさま
鏡の
蓋を
外して、
薄暮の
中にじっとそのまま
見入ったが、二
筋三
筋襟に
乱れた
鬢の
毛を、
手早く
掻き
揚げてしまうと