“男(をのこ)” の例文
一五家に久しき男(をのこ)に一六黄金(わうごん)一枚かくし持ちたるものあるを聞きつけて、ちかく召していふ。一七崑山(こんざん)の璧(たま)もみだれたる世には瓦礫(ぐわれき)にひとし。
面形(おもがた)の忘(わす)るとならばあぢ(イづ)きなく男(をのこ)じものや恋(こ)ひつつ居(を)らむ 〔巻十一・二五八〇〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
『男(をのこ)は誰ぞ』『誰そか思ふ』『知らず』『顕治なり、宮本なり、非常のことなり』やゝあって、『いづれより云ひ初めけむ』と云へば、鶴次郎から/\と打ち笑ひ『相寄る魂なるべし』
百千(もゝち)の男(をのこ)なやませし今小町とは
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
男(をのこ)のひとりここにして
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
七六な恚(ふづく)み給ひそ。七七魚が橋の蕎麦(くろむぎ)ふるまひまをさんにと、いひなぐさめて行く。口とる男(をのこ)の腹だたしげに、此の七八死馬(しにうま)は眼(まなこ)をもはたけぬかと、荷鞍(にぐら)おしなほして追ひもて行く。
千万(ちよろづ)の軍(いくさ)なりとも言挙(ことあげ)せず取(と)りて来(き)ぬべき男(をのこ)とぞ念(おも)ふ 〔巻六・九七二〕 高橋虫麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
男(をのこ)のひとりここにして
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
若き男(をのこ)は七二却(けく)物怯(おびえ)して、銭おほく費(つひや)すことよといふに、殿(との)の上(のぼ)らせ給ふ時、七三小豆嶋(あづきじま)より七四室津(むろづ)のわたりし給ふに、七五なまからきめにあはせ給ふを、従(みとも)に侍(はべ)りしもののかたりしを思へば
「男じもの」の「じもの」は「何々の如(ごと)きもの」というので、「鹿(しし)じもの」は鹿の如きもの、でつまりは、鹿たるものとなるから、「男(をのこ)じもの」は、男の如きもの、男らしきもの、男子たるもの
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)