玄米げんまい)” の例文
顔のあかい男は盛相のふた玄米げんまいいてあるぐたぐたの飯を分け、って熊笹くまざさの葉を二三枚って来てそれにのっけて僧の前にだした。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「お前さん莫迦ばかね。ちつと黙つていらつしやいよ。そんな事を云つちや、わたしがきまり悪くなるぢやないの。あれは玄米げんまい珈琲よ。」
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
下士族は出入しゅつにゅう共に心に関して身を労する者なれば、その理財の精細せいさいなること上士の夢にも知らざるもの多し。二人扶持ににんぶちとは一箇月かげつ玄米げんまいなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
とにかくに摺臼すりうす唐箕とうみが採用せられて、玄米げんまいの俵が商品となるまでの間は、稲作作業の終局と考えられたのは、稲扱いねこきという仕事が済んだことであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
……學者がくしや術語じゆつごばなれがして、商賣しやうばいによつてかしこしである、とおもつたばかりは二人組ふたりぐみかけあひ呼聲よびごゑも、じつ玄米げんまいパンと、ちんどん、また一所いつしよになつた……どぢやう、どぢやう
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玄米げんまいのマッシ 冬付録 病人の食物調理法の「第十九 玄米のマッシ」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
作るには大豆だいず玄米げんまいって粉にした物へぬかまじえて白粉しらこを製し
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「五郎を殺すのはいやですが、おちたら食はうと思ひました」といふ。九段上くだんうへへ出づる途中、役所の小使らしきものにやつと玄米げんまい一合余りを貰ひ、なまのままくだきて食す。
こゑも、玄米げんまいかゆに、罐詰くわんづめ海苔のりだから、しつこしも、ねばりも、ちからもない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もともと農を営まぬ人々の間に始まった正月の慣習なるが故に、その用途は次第に食饌しょくせんの方にかたより、もみ玄米げんまいとなりまた白米となり、粔米おこしごめとさえなったうえに、餅の大きな改良によって
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
玄米げんまいかゆ 春 第五十六 玄米のかゆ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)