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爆裂彈
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ばくれつだん
『
用意!。』と
武村兵曹が
叫ぶと、
二名の
水兵は
車中の
大旅櫃の
中から、
一個の
黒色の
函を
引出して
來た。
此函の
中には、
數十
個の
爆裂彈が
入つて
居るのである。
嘗て
此の
隧道を
穿ちし
時、
工夫が
鶴觜、
爆裂彈の
殘虐に
掛つた、
弱き
棲主たちの
幻ならずや。
其邊に
徘徊して
居つては、
到底車外に
出でゝ
其仕事にかゝる
事が
出來ない、そこで、
此爆裂彈を
飛ばして、
該獸等を
斃し
且つ
追拂ひ、
其間に
首尾よくやつて
退けやうといふ
企だ。
そこで
用意が
整ふと、
吾等は
手に/\
一個宛の
爆裂彈を
携へて
立上つた。
兼て
用意の
鳥の
肉を、十
斤ばかり
鐵檻の
間から
投出すと、
食に
飢ゑたる
猛獸は、
眞黒になつて
其上に
集る。