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照添
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てりそ
月影は、
夕顏のをかしく
縋れる
四ツ
目垣一重隔てたる
裏山の
雜木の
中よりさして、
浴衣の
袖に
照添ふも
風情なり。
輝く
初夏の空の
下、際限なくつづく瓦屋根の
間々に、あるいは
銀杏、あるいは
椎、
樫、柳なぞ、いずれも新緑の色
鮮なる
梢に、日の光の
麗しく
照添うさまを見たならば
その行く時彼の姿はあたかも左の半面を見せて、
団欒の間を過ぎたりしが、
無名指に輝ける物の
凡ならず強き光は
燈火に
照添ひて、
殆ど
正く見る
能はざるまでに
眼を射られたるに
呆れ惑へり。
と扇をきりりと袖を直す、と
手練ぞ見ゆる、
自から、衣紋の位に年
長けて、瞳を定めたその
顔。
硝子戸越に月さして、霜の川浪
照添う
俤。膝
立据えた畳にも、
燭台の花颯と流るる。
と
莟を含んだ
趣して、鸚鵡の雪に
照添ふ唇……
と
莟を
含んだ
趣して、
鸚鵡の
雪に
照添ふ
唇……