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淫婦
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いんぷ
ふりがな文庫
“
淫婦
(
いんぷ
)” の例文
あの掌の上で
翩飜
(
へんぽん
)
と踊つた美女が、毒婦でも
淫婦
(
いんぷ
)
でもなく、この上もなく優しい女だつたことが嬉しかつたのです。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
先天的に男というものを知りぬいてその心を試みようとする
淫婦
(
いんぷ
)
の目とも見られない事はなかった。それほどその目は奇怪な無表情の表情を持っていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
狐は、事物異名考に
淫婦
(
いんぷ
)
紫姑
(
しこ
)
が化けた獣であると書いてあるから人間の食いものにはなるまいが、同じ妖術を心得ている狸の方は悪意ある化け方をしない。
たぬき汁
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
フランドルの美術よ、
汝
(
なんじ
)
こそはよく
彼
(
か
)
の
淫婦
(
いんぷ
)
を知りたれ。よくかの
乳房
(
ちぶさ
)
赤く肉
逞
(
たくま
)
しき淫婦を愛したれ。フランドルの美術の傑作はいづれかその
証
(
しるし
)
ならざる。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕はそんなことは超越してるが、そう云う風に考えたら貞女も
淫婦
(
いんぷ
)
も悲しくないなんて女はないさ
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
世の中の無数な売女や
淫婦
(
いんぷ
)
を越えて、この母ひとりが、
汚
(
きた
)
ならしい女に思えてならないのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
親父は一人娘で甘いのだし、お母さんは
継
(
まま
)
しい仲で、十分しつけが出来ないのだから、無理もないけれど、三千子さんという人は、恐らく生れつきの
淫婦
(
いんぷ
)
ではないかと思うね。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
持って生まれた
淫婦
(
いんぷ
)
の腕によりをかけてかようにたぶらかし、そのまに少年を引き具していちはやく新規八百石を完全に手中しようとしたからの小しばいにすぎなかったのでした。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
独身のさびしさを心に悩む男は、
淫婦
(
いんぷ
)
を見ようとも、針を持つ女を見てはいけない。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「エエイ黙れッ! このごろの貴様が
赤裸々
(
せきらら
)
の貴様なら、源十郎はおろか、だれとねんごろになろうとも栄三郎はすこしも驚かぬぞッ! ナ、なんたる……ウヌッ! なんたる
淫婦
(
いんぷ
)
——!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今に
妻室
(
かない
)
と密会を続けておりましたが、それが、今晩、
貴君
(
あなた
)
に見られて殺されることになり、私の
怨
(
うら
)
みも
報
(
むく
)
いられましたが、私の両親はまだ何も知らずに、
彼
(
か
)
の
淫婦
(
いんぷ
)
に
欺
(
あざむ
)
かれておりますから
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
あの汚らわしい
淫婦
(
いんぷ
)
のナオミ、多くの男にヒドイ
仇名
(
あだな
)
を附けられている売春婦にも等しいナオミとは、全く両立し難いところの、そして私のような男はただその前に
跪
(
ひざまず
)
き
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
……ところがこのたび、当地の
盧員外
(
ろいんがい
)
どのが、
淫婦
(
いんぷ
)
奸夫
(
かんぷ
)
のはかりに
陥
(
お
)
ち、かつまた
貪官汚吏
(
どんかんおり
)
の手にかかって、あえなく獄にとらわれ召された。いやすでに
命
(
めい
)
旦夕
(
たんせき
)
の危急と聞く。……で。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうか私の父に
逢
(
あ
)
って、まず私の死骸を改葬したうえで、
淫婦
(
いんぷ
)
の始末をしてください、私の死骸は山の中程の、
巌石
(
がんせき
)
の
聳
(
そび
)
えている処へ往ってくだされば、すぐ判ります、淫婦を白状さすには
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
淫婦
(
いんぷ
)
の
如
(
ごと
)
く脚
空
(
そら
)
ざまに
投出
(
なげいだ
)
し
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そして情熱でもなく、夫婦愛でもなく、不思議な悪縁の糸に結ばれ合って、互いに離れることも、殺すことも出来ないで、
自暴
(
やけ
)
の底に、のた打ち廻っているのが
姦夫
(
かんぷ
)
淫婦
(
いんぷ
)
の浅ましい
実相
(
じっそう
)
であった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女をつくづく
天稟
(
てんぴん
)
の
淫婦
(
いんぷ
)
であると感じたことがありましたが、それはどう云う点かと云うと、彼女はもともと多情な性質で、多くの男に肌を見せるのを
屁
(
へ
)
とも思わない女でありながら、それだけ又
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ああ、それこそ
淫婦
(
いんぷ
)
の
面魂
(
つらだましい
)
を遺憾なく
露
(
あら
)
わした
形相
(
ぎょうそう
)
でした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「それが、
淫婦
(
いんぷ
)
の
相
(
そう
)
だと、誰かがいったことがある」
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“淫婦”の意味
《名詞》
淫らな女性。多情な女性。
(出典:Wiktionary)
“淫婦”の解説
淫婦(いんぷ)とは、
みだらな女、多情な女のこと。
淫売婦(売春婦)。
(出典:Wikipedia)
淫
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
婦
常用漢字
小5
部首:⼥
11画
“淫婦”で始まる語句
淫婦姦夫