津浪つなみ)” の例文
津浪つなみとはなみすなはみなとあらはれる大津浪おほつなみであつて、暴風ぼうふうなど氣象上きしようじよう變調へんちようからおこることもあるが、もつとおそろしいのは地震津浪ぢしんつなみである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
度々たびたび津浪つなみゆえ、本所へ屋敷替えを親父がして、普請の出来るまで、駿河台の太田姫稲荷の向う、若林の屋敷を当分借りていたが、その屋敷は広くって、庭も大そうにて
何かあの頃は、そういう神秘的なようなことがしきりと行われた。盤梯山が破裂したり、三陸の津浪つなみが起ったり、地震があったり、天変地異が頻々とあって、それにも少年の自分は脅かされた。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
群集も、今はたまり兼ねて、ドッと津浪つなみの様にガラス板の前に押しよせた。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
お駒のまわりには、赤い火の色と、ぱちぱちいう木の燃える音とがあるだけで、その中に、津浪つなみのようなひびきと黒いものの動揺があった。津浪のような響きは、観客や舞台裏の人々の叫びであった。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「これかね、寛政子年ねどし津浪つなみ死骸しがいかたまっていた処だ。」
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
非局部性ひきよくぶせい大地震だいぢしんおこことのある海洋底かいようていせつした海岸地方かいがんちほうは、大搖おほゆれの地震ぢしん見舞みまはれた場合ばあひ津浪つなみについての注意ちゆういようする。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あの時の津浪つなみのような笑い声——そうだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かういふ長波長ちようはちよう津浪つなみ海底かいてい大地震だいぢしんによつていかにしておこされるかといふに、それはおほ海底かいてい地形變動ちけいへんどうもとづくのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
このときおこつた大氣たいき波動はどう世界せかい三週半さんしゆうはんするまで追跡ついせきられ、海水かいすい動搖どうよう津浪つなみとして全地球上ぜんちきゆうじようほとんどいたところ觀測かんそくせられた。また大氣中たいきちゆう混入こんにゆうした灰塵かいじん太陽たいよう赤色せきしよくせること數週間すうしゆうかんおよんだ。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)