河川かせん)” の例文
湖は海のごとく、山東さんとう河川かせんを無数に吸いれ、そしてまた山東の外洋へと、そのみなぎりはどこかで吐き出されているらしい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだあつ空氣くうきつめたくしつゝ豪雨がううさら幾日いくにち草木くさきいぢめてはつて/\またつた。例年れいねんごと季節きせつ洪水こうずゐ残酷ざんこく河川かせん沿岸えんがんねぶつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
村を離れて一里ばかり登りこれより本流の河川かせんと離れ、西少し南の山間の太い川に沿うてだんだん上に登って行きました。もはやこの辺には大木はない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「もうそつちへくわ、くつだからあしはやい。」「心得こゝろえた。」したのさかみちまがれるを、二階にかいから突切つききるのは河川かせん彎曲わんきよく直角ちよくかくに、みなとふねやくするがごとし、諸葛孔明しよかつこうめいらないか
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その保安林ほあんりんだけでは、そこからなが河川かせん流域一帶りゆういきいつたい人々ひと/″\利益りえきをうけるといふのみで、これだけではまだ完全かんぜん一國民全體いつこくみんぜんたい森林しんりん利用りようしてゐるとはいへませんでしたが
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そしてこの陸の築港も完成に近づきつつある一面、なお、高松城附近の七ヵ所の河川かせんでは、べつにここにも劣らない難事業がすすめられていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左様仰せられますが、高松の城は、平野と耕田の底地に位置し、四囲には手頃な山々をひかえ、加うるに、足守川あしもりがわをはじめとし、大小七つの河川かせんが八方へ奔馳ほんちしています。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
静脈動脈にも似た大小の河川かせんと、周囲の山岳地方からちぎれて飛びわかれているかのごとき丘陵と、無数の村落と、それから碁石のきどころにも似た要所要所に町があり、また城がある。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張清は一河川かせんの岸に追いつめられ、突如、河中の船からおどり上がった泊兵の水軍にどぎもを抜かれた。湿地しっちを脱するだけでもやっとだった。しかし、奮然このときに最期のはらを決めたのだろう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)